絆されて 公演情報 東京タンバリン「絆されて」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/11/30 (土) 14:00

    2022年の再演だが、自分としては初めて拝見。「笑えるサスペンス」と銘打っているのだが、むしろリアリティーがありすぎて笑えなかった。テーマは中年男女の友人グループの複雑な人間関係と心模様。とても怖い物語だった。

    30人くらいしか入らない、横浜駅近くの小劇場が会場だ。冒頭、結婚前と思われる男女のマンションの部屋に、友人の男と女がやってくる。来たばかりなのに「外に食べに行こうか」「早く行こうよ」とせかすように繰り返す2人。なぜ、2人がそういう行動を取ったかは、ラストシーンになると分かる。
    部屋の奥には段ボールが積み上げてある。引っ越し前後だからそうなのだろうと思ったが、これが予想外の理由だった。
    ちなみに、タイトルにある「絆」という文字は元々「ほだし」と読み、家畜をつなぎ留めておく綱という意味だそうだ。きずな、心と心の結びつきというとらえ方が一般的だが、家畜の綱なので束縛、呪縛という意味で使われていたそうだ。これを知っていると、物語の意図するところが見えてくる。

    舞台は60分の長さでテキパキと進行する。東京タンバリンではかつて別の舞台で見たことがあるが、役者にダンスのような同じ動作をさせて舞台転換を図ったり、今作ではせりふの流れの中で登場人物が歌をうたっている間に転換をするとか、こんなところがとてもおもしろい。
    また、2面の白い壁にはランダムと思われる数字のボードが貼ってあったのだが、これは舞台転換の際に役者が数字ボードを張り替えることでその場面の日付を表すという小道具だった。場面は日付的にジグザクに前後するので、このような表示が必要になったと思うのだが、それに加え、登場人物の一人が数学を教える教職についているという設定。数字がせりふ的にも小道具のように使われているのが秀逸なアイデアだ。たとえば「あなたは素数のような人だ、と言われた」などというせりふが多く登場する。数学が苦手な私にはとっさに意味がつかめないのだが、しかし何となく素数というイメージでその人の雰囲気が伝わってくる。

    また、背景の白壁にせりふの英訳が映し出されるというのはおもしろかった。外国人が見ても分かる、という工夫なのか。それとも単なる舞台美術の一環なのか。
    小劇場の中でも極めて小さい部類に入るスペースで、さまざまな工夫が凝らされた舞台が展開されていた。物語の展開も予想外の連続でとても秀逸なサスペンスであり、舞台美術もおおいに楽しめる。

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    2024/11/30 19:04

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