永遠色 - トワイライト - 公演情報 劇団導「永遠色 - トワイライト -」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    若さ溢れる女子高生の心霊劇であり心象劇。物語は、概ね説明に書かれている通りであるが、何かしら違和感を覚える。公演は、プロジェクションマッピングを使って柔らかみ ファンタジーな雰囲気を醸し出す。演出は勿論 演技も丁寧で、しかも登場人物は皆女優でフレッシュであり華やか、しかし描かれている世界観はここから先は行き止まり といった悲しみが…。それをどう乗り越えるかと、女子高校生の友情がモノローグ的に紡がれる。

    先の違和感は物語の核とも言うべき内容で、自分の勘違いなのか、もしくは観逃したか聞き逃したか。劇中も書かれている説明も同じで、その設定と展開の理解が追い付かないところが惜しい。自分の拘りかも知れないが、物語のテーマを語る上では重要だと思うが…。
    (上演時間1時間45分 休憩なし)【空色チーム】

    ネタバレBOX

    劇場に入ると、正面にプロジェクターを使って色彩豊かな絵(夕暮れ時の東京駅舎のような)が映し出されている。上手/下手の壁際にベンチ、下手に二重(前後)の衝立とカーテンが掛けられいる。舞台中央は広いスペースを確保し、女優陣が生き活きと演じる。
    いつもの場所/いつもの時間に待ち合わせ。それが時計台の下/トワイライトの時間帯。いつまでも続くと思われた北川女子高校 写真部員の友情。それが夏の遠征(長野県八ヶ岳山麓)途中で、バス転落事故で7人全員が亡くなる。ガラ携帯を使用しているから、時代設定は少し前か?

    7人の被害者の中の1人-藤崎真由は双子姉妹。母親の美沙は明るくけなげな真由を大切に育て、妹の真里は頭を抱えた。そして真里は 真由の死を受け入れられず壊れた。事故のニュースを見て、母親が「真里ちゃん、真由が死んだからお葬式しなくちゃね。あなたはお姉ちゃんなんだから」そして「彼女は“姉”となった」。物語は、ここからが見所。
    3年後、真里は真由里(=真由と真里)という多重人格を作り出し、嘘の明るさを取り戻した。虚証ならぬ虚笑する姿がそこにある。自分の存在とは、そして母の真由への思いとの兼ね合い、複雑な心模様を自問自答という形で描く。それは自分が作り出した小川由紀、山本結衣、谷口彩花という幻影との会話。さらに亡き写真部員-イマジナリーフレンドの6人-道乃木遥香、藤堂玲奈、椎名紗希、天城彩乃、神崎遥香、黒崎由美が、真由里の心に居座る。幻影とイマジナリーフレンドが真里を心配し励ますが、それが現実なのか幻影なのか、その世界観が混沌とし曖昧になる。

    3年経ち 幻影とイマジナリーフレンドの存在は、真里の慰め/癒しとしての役目を終えようとしている。そしてイマジナリーフレンド6人(体)が夫々思い残したことを吐露し、真里から離れ成仏する。本来であれば 姉の真由の吐露があって、真里が真に自分自身を取り戻すことが出来るのではないか。人はいつか死ぬ、しかし亡くなった人のことを忘れなければ、残された人の心の中で生き続ける。これは母親にとっても同じ。真由の思いが、母と真里を再生に導くのではないか。その核心が描かれていない。勿論 1人2役でという演劇的な難しさもあろう。しかし、イマジナリーフレンドが6人で肝心な真由の存在感がない。そして母と妹への惜別の言葉がないのが残念。

    また真里がショックで ドッペルゲンガーに、といったことも考えられるが その兆候らしきものが描かれていない。ただチラシには「心の中で彩った人々と偽物の人生は交錯し、ついに まぼろしは表へ出てきてしまう」とあり、姉妹はほんとうに双子なのかという疑問も残る。それを意図したならば、なかなかに手強い公演だ。

    さて イマジナリーフレンドの心残り…例えば、椎名紗希(村山桃圭サン)は、研究ファイルのパスワードを伝え忘れたこと。事故・災害等が起きた時、衛星通信を利用して場所を特定するシステム…物語の事故と絡め、更に現代的な課題の広がりに繋がるようで面白い。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2024/11/24 12:32

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