実演鑑賞
満足度★★★★
瑞々しく、芯の強い3人の俳優の瞳の輝きと揺らぎに照らされ続けた1時間。校庭も部室も屋上も渡り廊下も全部が見えた。恋も失恋も友情も、放課後の賑わいも、一人になった時の静けさも全部があった。
劇中歌であるハイロウズの『青春』の歌詞に擬えるなら「時間が本当にもう本当に止まればいいのな」と、思わず願う程に見渡す限り全てが世界だった、それだけで目一杯だった"あの頃"があった。多分どこかに私もいた。
誰かのしたためた言葉や歌の中にふと自分を見つけるとき、それは救いであり、祈りであるように思う。町を映す透明のガラスの上をすべるクレヨンの文字を眺めながらつくづくそう思った。
水性はやはり、その瞬間にしか味わえない刹那的かつ詩的な反応を生む場所だし、それをしっかりと気づかせる演劇もまた素晴らしい。ロロの三浦さんの紡ぐセリフの豊かさに改めて気づく観劇でもあり、その魅力が最前世代を生きる俳優と演出家によって瑞々しく新たに彩られる意義も感じた観劇でもあった。
若手の俳優陣によるこういった企画はとても貴重。
作品が時間を越え、世代を越え、幾重にも拡がっていく可能性をも秘めた企画だと思います。次回にも期待!