ZOKKYののぞき部屋演劇祭2010 公演情報 ZOKKY「ZOKKYののぞき部屋演劇祭2010」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    5分間のワンダー。
    ZOKKYの超ラグジュアリーなR&Bナンバー『エロスの解剖』を聴きながら現地へ。当方、ZOKKYは初見です。観劇したのはヌキバカ『ワイルドオタッキー』。
    何となく全力でアホをやってるテンションが高い感じの作品なのかなぁなんて想像していたのですが私のこの考え、相当に野暮でした。
    『わたしだけがそれをみている』という特別な感覚が、空間に一歩足を踏み入れるとぐわんと身にせまってきて。
    美しく色鮮やかに塗りこめられていくとびっきりの嘘や、愛欲にまみれた乞食などに板挟みにされた窮屈な現実が生きるか死ぬかのオセロゲームをしているようで。息をつく間もなくファンタジアに出会うのです。
    そしてファンタジアの可能性を追求した超ウルトラ立体構造のフレームワークにもノックアウト。
    たった5分、されど5分のワンダーランド。必見です!

    ネタバレBOX

    王子小劇場を右目で見送りぐるりと迂回し王子小劇場裏口へ。B1へとつづくエレベータのボタンを押してしばし待ち。扉が開くと、エレベータのなかには天井からミラーボールが吊り下がり、その足元にはスポットライトが取り付けられていて。(←ちょっと手狭なワンルームディスコ状態で。笑)まさかここでZOKKY??とおもったのもつかの間、何なくエレベータはB1Fへ。あのミラーボールは一体何だったんだろうか・・・。という疑問を残しつつ、タキシードに身を包むシュっとしたスタッフに迎え入れられる。足元には赤いビロード、その周りに電飾がキラキラ光ってて。アレ?来るところ間違ったかしら。なんて一瞬おもった。そういえば、ZOKKYの先行予約を購入した際に封入されていたMUのハセガワアユムさんのCDレビューに『まるで六本木の間接照明で照らされているようなラグジュアリーさが・・・』って書かれていることをふと思い出し、なるほど合点がいった。

    受付を済ませるとスタッフの方からヘッドフォンが渡された。しばし装着。近未来的なエレクトロポップミュージックを数曲聴いた後、名前が呼ばれた。超緊張する。なんだか特殊な治療が施される診察室へと誘導されるような気分。笑 赤いビロードをてくてく歩き、数段階段を上がった小部屋。いよいよ鉄の扉が開かれた。事前に目を通しておいた観劇の際の諸注意を反芻する。
    『足元に描かれている足の形にあわせて両足を乗せて待ち、前方から壁がせり出してきたら壁の中央部にある穴から覗く。』

    扉が閉まった途端、ZOKKY・・・と数回エコーがかかり、中央部に不思議な黒い幾何学模様がペイントされた白い壁の上方部にピンク色の艶めかしい雰囲気のスポットライトが点滅し、それを盛り上げるようにして左右に橙色のスポットライトが数回踊るオープニングの後、本編がはじまった。

    物語は、ある主婦のモノローグから始まる。
    彼女は昨日娘のサクラを保育園に預けた後、不倫相手の男とホテルでふしだらな行為に耽っていた。どんな風にして冒されたのか。その感触を確かめるようにして、ゆっくりと身体のパーツに触れていく。そうして男との思い出も心の中へとよくなじんでいくように。

    そんな彼女は大手家電量販店に只今絶賛パート勤務中である。ふしだらに花開いた妄想をあっけなくフロアチーフにへし折られ、AV機器売り場への販売応援を指示された。
    「AV?」
    AVはアダルトビデオの略であると自動的に脳内変換した主婦の妄想は芳醇な花の香りを放つランジェリー姿のうら若きAV女優として立ちあがり、彼女の現実を押しのけて覗き人の目に飛び込んでくる。(←主婦の若かりし頃の幻影、叶わなかった願望(イメージ映像)、さらに覗き人の願望が三位一体となったスゴ技!笑)

    欲望が新たな欲望を呼び寄せるかのように、彼女の背後に影をひそめている現実の裏側、深層心理に眠りつづける妄想の扉が開かれると緑色の怪しい光に照らされた、四つん這いになった女が振り子のように規則正しく尻を振り、見知らぬ誰かによって鞭で叩かれ喘ぎ続けているかのような光景が広がる。彼女の冒されたいという欲求は、愛されたいというこころの叫びのようだ。
    彼女の背後の奥へ、奥へと無限に続いていくような赤いビロード上に厳然と続いていく長い階段は、苦しいことが積み重なった開かずの扉のようであり、また一度足を踏み入れるともう二度と戻ることができないが、ほんの少しの間だけ何度でも夢を観ることはできる魔法の扉。魔界の入口のようであるようにも思えた。この場面が私はこの作品のなかで最も幻想的だと感じた部分である。

    ただ、現実を隔てたその向こう側に見とれてしまったが故に、フロアチーフが歌い出したあのカラオケが何のことやらすっかり忘失してしまった。(←苦しい言い訳)しかし、あのフロアチーフはやたら目線を合わせてきたし、そればかりか覗き穴から飛び出してくるほど顔を近づけてきたので、もしかしたらここが作品のなかで最も重要なシーンだったのかもしれないのだが。汗

    さて、妄想と板挟みになり、というよりもむしろ妄想にひきずり込まれそうになっていた主婦の現実はこの後、ひとりの『オタッキー』によって救われる。

    彼が「DELL コンピュータは販売しているか?」と尋ねてきたのである。主婦をバックショットにしてわざと表情を見せない演出がとても憎い。(自分の脳内にはこの瞬間、相対性理論の「らぶずっきゅん」が掛かりました。)

    「・・・・でる?」
    その言葉を聞いた途端、暴れ出す彼女のなかの妄想たちは『ヌキバカ』らしくはっちゃける!
    いわずものがな、AV(女優、ビデオ&機器)浮遊のDELL(パソコン&射精)着地。

    個人的には、でる・・・・?で主婦がオタッキーをさらって(←逆のパターンも可)駆け落ちとかしてしまうほうがファンタスティックなのに!とかおもったのだけど、主婦の妄想劇だから、それはないか、と勝手に納得。

    この作品を選んだのは、やはりワイルドなオタッキーがわさわさ出てくるだろう!という勝手なイメージが先行していたこともあって、案外オタッキーが普通っぽすぎて、ちょっと肩透かしを喰らってしまった。ワイルドになれないオタッキーを表現してたのかな。だとしたら、オタッキー側からの視点もないと辻褄があわないような・・・。ともあれ、こういうのはあんまりリアルすぎると切実すぎて、おもしろさが半減してしまうのかな。

    しかし覗くということが、こんなにも楽しいものだとはおもってもみなかった。
    最初からドキドキワクワクしっぱなしで。
    まばたきをする度に1ショットづつ場面がぐるぐるとメリーゴーランドのように展開していく緻密な構成――カットイン/カットアウト、フェイドイン/フェイドアウト、クローズアップ、早回し/長回しなどすべてを俳優の距離感や存在感で表現する演出が挑発的で舞台空間におけるフレームワークの限界に挑戦しているようにもおもえた。
    そしてやはり何といっても俳優がこちらを見つめる瞬間が格別!!
    いやはやこれはクセになりそうだ。笑

    4

    2010/09/10 22:33

    0

    0

  • >みささま

    人間の欲望がはちきれる瞬間や本性がみてとれる瞬間が下世話であるとするならば、そういった表現はなされているとおもいますし、誰もが観たくなるような禁断の世界が描かれていることは確かだとおもいます。
    格式が高いと言いましたのは、ラグジュアリーといいますか、ゴージャスですよ〰というようなニュアンスだったのですが、すみません、私の言葉が足りなくて上手に伝えられませんでした。

    この公演は、5分間というあまりにも限られた時間のなかで、誰かの心を動かすことはできるのか?ということに挑戦していることにも意味があるとおもうのです。

    是非とも観て頂いたうえで御判断願いたい気持ちが募るのが正直なところですが、当日券の販売もないようですので、幸運にもチケットを入手できたうちのひとりとして、ここに感想を投稿させて頂きたいとおもいますので。動向を見守っていただけるとうれしいです!

    2010/09/11 03:08

    >美的であることと詩的であることに真剣であったような印象を受けましたので、上記の覗き部屋とは格が違いますよ!

    なーんだ。じゃあ下世話な覗き部屋じゃあないじゃないですかっ。ちょっと残念・・。


    >物語としてみても純粋にオモシロいとおもいますし、カメラアングルを最大限に用いたいたような構図や空間を彩る照明、それから誘導スタッフの雰囲気も含め、パフォーマンスが徹底していますし、これはれっきとした演劇だとおもいますよ。

    なーんだ、ますますソッチ系から果てしなく離れてるじゃあないっすか。
    いあ、ワタクシ、どちらかというと格式高いお芝居よりも、ソッチ系が良かったのですが・・、5分だし。5分でソッチ系はどうするのかと悶々と興味がありました。

    しか~し、はっきりくっきり解ってしまった以上、想定内の予想はつくのかと。
    だったら観客が観ながらソッチ系をパフォーマンスすればいいのかと。
    そんな風に考えて、次回の「ZOKKYののぞき部屋」は客が覗きながらソッチを演じる。ってのはどうかしら?笑

    とりあえず、ネタばれ待ちます。笑

    2010/09/11 01:04

    >みささま

    まさかまさかの5分間一本勝負です!笑
    他の公演も、あと3つほど日程は異なりますが予約をゲットできたので、
    その都度Upしていこうとおもっております。

    確かに5分間のためにその数十倍もの時間を掛けて会場に赴いたり、
    交通費をかけて行くのも何だかなぁ、と私もおもわなかったわけではありませんが、
    それでも観たい!という好奇心の方が勝りましたね。笑


    >なんかの本で読んだのだけれど、覗き部屋って昔、あったみたいです。
    制服を着た女子高生が電話をしたり、徐々に服を脱いだり、狭い空間でHなことをするらしいの。

    へぇ!そんなディープな世界があったのですね。
    今だったら即効パクられそう・・・笑。
    ZOKKYは作品のベースになっているのは性ではあるのですが、美的であることと詩的であることに真剣であったような印象を受けましたので、上記の覗き部屋とは格が違いますよ!
    物語としてみても純粋にオモシロいとおもいますし、カメラアングルを最大限に用いたいたような構図や空間を彩る照明、それから誘導スタッフの雰囲気も含め、パフォーマンスが徹底していますし、これはれっきとした演劇だとおもいますよ。
    みささまのように格式高い淑女の方にこそみて欲しいお芝居です。

    後ほど、ネタばれBOXに詳細をUPしますね。少しお待ちくださいませ。

    2010/09/10 23:50

    をを~、観てきたんだね~笑
    ま、まさか・・、5分間一本勝負で帰ってきちゃった訳じゃあないでしょう?
    他の回も観ましたか?
    出演者によって5分の金額が違うけれど、たった5分の為に交通費をかけて出かけてく観客の姿勢のほうが凄い!と感じてる。笑

    なんかの本で読んだのだけれど、覗き部屋って昔、あったみたいです。
    制服を着た女子高生が電話をしたり、徐々に服を脱いだり、狭い空間でHなことをするらしいの。
    当時は男性客6人ぐらいでそれぞれ別の部屋から同じ一人の女子がオナニーしたりするのを覗いたようだけれど、これもそれと同じなのかと・・。

    だから、むしろ年配のユーザーのほうが、そういった事情をご存じのようで「観たい」にUPしないよね。UPした時点で女性から見えないレッテル貼られちゃうのを解ってるから。笑
    ワタクシから言わせるとこれは演劇と呼べるのかが疑問。その昔は明らかにソッチ系だから。

    もっと詳細にネタばれして頂けると嬉しいなぁ。。笑

    2010/09/10 23:20

このページのQRコードです。

拡大