歌っておくれよ、マウンテン 公演情報 優しい劇団「歌っておくれよ、マウンテン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ホントに無料公演(カンパ制)でいいの と思うほどの好演。出来れば、もう一度観たかったが…。また東京へ来てほしい。

    前説が一人芝居(主宰の尾﨑優人 氏)のようで、開場時から上演直前まで喋り続け、そのまま本編にも登場する。舞台と客席を一体化し、大いに盛り上げ楽しませようとする。これが名古屋流(愛知ではなく名古屋と言っていた)なのか?本編に名古屋弁が頻繁に使われ、地元愛を感じる。

    物語は、登った人が“一番思い出したいことを思い出せる”という山がある大陸。その山に歌を歌わせに行こうと思った“私たち”は、道中で出会いや別れを繰り返し……。その観せ方が アバンギャルドというかコンテンポラリーというか、でもアングラ演劇が一番シックリくるか。その不思議で混沌とした世界観の中に独特の味わいを感じる。この感覚は 在京の劇団でもあったが、俚言が入るとちょっと身近で親しみがわく。若い役者陣の疾走感と熱量ある演技に圧倒される。舞台技術の工夫も良く、その効果はハッキリ表れている。

    独特の感覚は、昭和といった懐かしさ 懐古的な雰囲気も感じられる。ただ 表層的には破天荒のように思え、観客によって好き嫌いが分かれるかもしれない。脈略があるのか否か判然としないが、いくつかの小さな話によって 山に行く大きな物語を紡ぐ。分かり易く手助けをするのが尾﨑さんのナレーション的な台詞。それによると(聞き逃しがなければ)6話で構成されているよう。その中の1話を公演回ごとに違うゲストが演じている。毎回 雰囲気が違う物語が楽しめるという趣向である。
    ちなみに上演中の写真(動画も)撮影OK。
    (上演時間1時間50分 休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術はブルーシートを広げ、その上にリュックや太鼓、ピアニカ等が乱雑に置かれている。劇中に自分たちが飲むペットボトルが数本ある。役者は常に舞台上におり、ブルーシート内が物語の世界、シートの外はいわば楽屋でリラックスした体勢で演じている役者を観ている。

    物語は、「ちょめちょめ」 と 「ごにょごにょ」という姉妹が、或る山へ思い出探しの旅へ。その道中で出会う人々の話を挿入しながら、目的地へ向かう。挿入される話は6話で、例えば 観た回のゲストは 子供だけの世界で、自分だけが大人に成長してしまう戸惑いや疎外感といった悲哀ある話。ガリヴァー旅行記のような寓話性あるもの。裏柳生六人菩薩の場面などは、Xで上演台本があるらしい。また 唐 や つか をリスペクトしたような場面もあり 結構楽しめる。ゲストも含め役者陣が発する台詞が機関銃のような早口、そこに名古屋弁が入るから分かったような分からないような。それでいて いつの間にか その迫力に惹き込まれる。

    舞台技術の照明は、携帯用の器具を自由自在に動かし、もしくは手に持って自分の横顔を照射したりする。また音響・音楽は、役者が太鼓を鳴らしたりピアニカを吹いたりし、場面を煽り盛り上げる。またブルーシートを持ち上げ映写幕代わりにして、影絵のように人物(姿)を映し出す。常に喋り動き回る躍動的な活劇。前説時に尾﨑氏が観客へ掛け声や拍手を求めるなど、役者&観客で場内を一体化する。そのパワフルな演劇に心を奪われそう。
    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2024/10/27 00:10

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大