モノクロイド 公演情報 劇団かえる「モノクロイド」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い しかも無料公演。
    重要な警告をちりばめて紡いだ珠玉のSF作。観終わった時 「パンドラの箱」、最後に残ったのは「希望」だけという言葉が脳裏をかすめる。
    説明(チラシ)では、西暦2616年という設定で、コールドスリープから目覚めた男が見た世界は…。
    (上演時間1時間30分) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は冒頭(2416年、2616年の200年前)だけ ミニテーブルが置かれ 食卓風景を見せている。そこには、生活感があり人類がまだ生存していたことを表している。舞台の上手・下手に黒い扉、同じように衝立暗幕があるだけの ほぼ素舞台。照明は主にオフホワイトで、視覚的にはモノクロイメージ=色がなくなった世界が広がっているよう。

    人類は戦争の繰り返しで200年も昔に滅亡し、数台の人工知能を搭載したアンドロイドだけが機動している。屋外は廃墟と化し雑草さえ生えていない殺伐とした世界。人間のために造られながら 人間の役に立つことが出来ないアンドロイド、それを人間に置き換えた時、何の目的や目標かが見い出せない空虚な気持で生き続けることの空しさ遣る瀬無さ。同時に不安や怖さを感じる。不条理…戦争・環境そして生存といった重要なことが浮き彫りになってくる。アンドロイドはゼロ(0)からモノを作り出すことが出来ない。ここが地球であれば、いずれ死星になる運命だろうか。

    屋内にいるアンドロイドは3体(メイド・ドクター・ガード)、夫々には役割があり家事全般 特に食事、人間専門に診る医者、森林(環境)保護、しかし人間もいなければ森林さえない。既に役立たずのアンドロイドと化していたが、死ぬ(壊れる)ことも出来ない。そこに200年の時を経て人間が現れた驚き、そして関心と奉仕できる喜び。そこに必要とされる意義のようなものが浮き上がる。同時に戦争は全てのものを奪う愚かな行為も。

    コールドスリープという人体実験に応募した理由は、今の暮らしがもう少し楽になればという ちょっとした欲(お金)のためだったが…世界が違えばお金はただの紙片。大切なものはもっと身近にあった。失って気づく大切なもの、それは人間をはじめ全ての生あるもの。
    卑小だが、全てを無にした設定…アンドロイドのエネルギー源は何か、そして人間ケイへの食事(食材)は どのようにして調達出来たのか等々。人間もケイ(男)だけで これからの人類(生殖)は、そして唯一の希望 四葉のクローバーはどうなるのか。これから先も関心が尽きないが…。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2024/10/15 05:55

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