実演鑑賞
満足度★★★★★
寡作と言える風煉ダンス久々の公演。堂々たる新作。祝祭性たっぷり。面白い。
・・と書いたが10年程前までは新作公演を普通にやっていた模様。「まつろわぬ民」を劇団の根城らしいせんがわ劇場で観たのが私の初風煉で、これを座高円寺でも演り、その後ツアーもやってたから、僅かな持ちネタで回してる等と勝手な当て推量。
野外劇の「スカラベ」(2016年)は雨除けテントで撥ねる雨滴を気にしつつ、目の前ではずぶ濡れの役者たちのはしゃぎ走るのを眺めたものだが、野外というのが堂に入っていてこれがこの劇団の標準形か?とも。映像で観ていたその前年の「泥リア」も野外劇。いずれも「広い舞台」を好き放題使い、小道具・大道具に衣裳への遊び的こだわりは、劇場公演も同様。その特徴は芝居を遊ぶ自由さにあり、これを体現する風煉女優の吉田、御所園らや常連男優の醸す空気が、今やある意味現在へのアンチと言えてしまうのは、讃えるべきか嘆くべきか。。
初日、バタバタで開演を迎えたような空気も場の高まりに。主宰が「ご覧下さい!」と告げたタイトルコール「星の王子さま」にツッコミが入るのもご愛敬。サンテグジュペリ及び「星の王子さま」を慕う人々と研究対象とする一人の学者(主人公)と、彼らが訪れた砂漠の地に住む謎の人々そして「願いが叶う」花を略取しに潜入している悪人コンビ。可愛らしい物語だ。「ご愛敬」はそこここに散らばり、劇空間は伸びやかである。この漂っている雰囲気が、私的にはえらく好みである。