かげきなデイリープレイス 公演情報 演劇集団イヌッコロ「かげきなデイリープレイス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ヤクザが演劇をする、その過程で起きる勘違い、誤魔化し、すれ違いなどを面白可笑しく描いたシチュエーションコメディでありスラップスティックコメディ。
    設定は違うが、何となく実践記録を基にした「野球部員 演劇の舞台に立つ」という映画、舞台化もされているを連想した。訳あって 嫌々ながら始めた演劇、しかし成し遂げようとする過程で生まれた感情、仲間意識が…そんな成長譚でもある。

    なぜヤクザが演劇をするのか、その突拍子もない理由は任侠の世界らしい。勿論、自分たちがヤクザということを知られてならないのは、他のキャストやスタッフが怖がること、興行に悪影響 というか出来ない。それでも裏稼業の人間ということを隠し、いろんな噓をつき通す。公演の日程・場所は決まっており、もはや逃げられない状況に追い込まれ…。

    舞台は犬山町にある犬山集会所の一室。演目は「くれないの お雪」(?)、その主役を演じる<ゆうな>という女優の存在が肝。場面によって爆笑・失笑・苦笑など、笑わせ方が違う。そこに演劇集団イヌッコロの観客への溢れるサービス精神を感じる。それだけに活動休止は残念だ。
    (上演時間1時間35分 休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は、奥の壁に犬山集会所まつり(10月5日)のポスターや絵画が飾られ、置台には電話。上手は出入口、下手に黒板。中央の大部分はスペース(素舞台)。

    ヤクザが演劇をする、実は親分の行きつけの飲み屋(スナック)で贔屓にしている女 ゆうなを主演にした舞台興行をする。そのため若頭 安藤(佐野瑞樹サン)が選んだのが稲葉と氏家。まったくのド素人、イヤイヤ舞台稽古を始めるが…。そして何故か若輩の原も加わるが、演劇だとは知らない。そこで殺し屋修行(にしては緩慢な動き)と嘘をつくが、さらに本当の役者や集会所の管理人も巻き込んでの大騒ぎ。

    始め、台詞覚えの場面では棒読みで、感情も入らず 動きもぎこちない。そして いつの間にかミュージカル仕立ての演劇になり、ハードルがどんどん上がり 歌やダンスも覚えることに。演出家 真田が ゆうなに好意を抱き、個人的に食事等に誘う。ミュージカル振付担当の甘利が、この世界はそんなものと自嘲する。しかし段々と演技らしくなり、という成長を見せる。そして舞台という虚構とは別に、本物の殺し屋が潜み親分を狙って というドタバタが重なる。

    コメディとしての面白可笑しさ、それを観(魅)せる歌・ダンス・アクション、更に掃除道具を楽器にしたパフォーマンスなど、全てを舞台上に乗せて楽しませる。勿論、始めの未熟さ、稽古の大切さ、舞台の面白さといった段階がしっかり描かれた成長譚。それは1人ひとりの成長であり、仲間を思いやるといった繋がり、まさに演劇公演のバックヤードを思わせる。
    次回公演も楽しみにしております(活動再開を願っております)。

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    2024/09/19 21:04

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