今は亡きヘンリー・モス 公演情報 シーエイティプロデュース「今は亡きヘンリー・モス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    濃密な家族の記憶劇が哀しい!
    暗い話題で、舞台も張り詰めた空気が充満して、役者も、観客も、息をつめたままの2時間40分の純ストレートプレイの決定版!

    久々、こんなに、全てのピースが完璧な重厚な演劇に出会えて、幸せでした。

    原作はもちろん、小川さんの演出と、各キャストの実存性のある演技のオンパレードには、心底酔いしれました。
    この企画をしたプロデューサーには、心から敬意を表します。
    皆さん、甲乙つけ難い名演技ですが、ベテランに囲まれ、若い伊礼さんが、あそこまで、役者力を蓄えられたことに、嬉し涙が出そうでした。役者さん個人の名演にここまで感動したのは久しぶりでした。

    久世さんの歌う鼻歌が、BGM的役割をして、ゾクゾクする程効果的でした。

    主演の3人、中嶋しゅうさん、谷田さん、伊礼さんの父子のシーンは、まさにドキュメンタリーを目撃しているかと思う程の、リアリテイと緊迫感で、胸が痛くなる程でした。
    名脇役の、福士さん、田中さん、久世さんの演技も秀逸で、演技力の一品会のような、素晴らしい舞台作品に、酔いしれました。

    ネタバレBOX

    初めから終わりまで、緊迫したシーンの連続で、喧嘩シーンは、役者さんの怪我が本気で心配になる程の、迫真演技で、まるで、映画でも観ているようでした。
    家族の、秘めれた過去の哀しい記憶が、目の前で再現され、それを聞いているその場にいない弟レイ役の伊礼さんの表情が素晴らしく、見入ってしまいました。
    ミュージカルもストレートプレイも、共に、これだけできる若手俳優さんはなかなかいません。次世代演劇界がとても楽しみになりました。

    タクシー・ドライバー役の福士さん、隣の老人を気に掛けて毎日スープ作りに通うエステバン役の田中壮太郎さんが、共に、この緊迫した芝居の息抜きのような笑わせどころを巧みに演じて下さいました。

    内容は、苦しくなる程、暗く辛い芝居なのに、こんなに終始ワクワクと観劇できたのは、作品、演出、キャスト、スタッフの仕事振りが、超一級品だったからに違いありません。

    どんな駄作を100観ても、たまにこういう傑作舞台に遭遇できる可能性がある限り、観劇はやめられないなと思いました。

    (粗筋は、しのぶさんのレビューに詳しいので、是非、そちらをご覧下さい。)

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    2010/08/28 23:26

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