穏やかな罅 公演情報 サンハロンシアター「穏やかな罅」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/08/30 (金) 14:00

    自分の中でも曖昧な、結論の出ない思いを素直に言葉にしたら
    こんな会話になるのかなと思う。
    その思いを受け止めてくれる相手がいて初めて成立する会話が温かい。
    悪徳業者だと思っていたら、意外なラストにめちゃめちゃ感動してしまったぜ!

    ネタバレBOX

    来年1月までに立ち退きが決まった古いアパートの一室、
    元同僚という中年男2人が一緒に暮らしている。
    淡々と、利害関係もなくただ同居しているというのが好ましい。

    お人よしの男1は、隣室の女性が不動産業者と立ち退き契約を交わす場に同行したりする。
    女性は手土産の菓子折りを持って、言われるままの立退料に判を押して去って行く。

    ポストに入っていた「水族館リフレ」という怪しい(?)チラシの店に、
    男二人は別々に内緒で通っていたが、ある日店でばったり出くわしてしまう。
    同じリフレ嬢の客だったことが判明する。
    男2は、リフレ嬢にストーカー呼ばわりされつつ人生初の「好きです!」と絶叫する。

    直後、男二人の穏やかな日々に小さな変化が生じる。
    何となく立ち退き後も次の住まいで同居すると思っていたが
    初めて別々に暮らそうか・・・と思い始めるのだ。
    無邪気に、隠し事も遠慮もなく無理せず暮らして来たオジサン二人の日常に
    壊れるのではなく、カリッと微かな罅(ひび)が入る感じが絶妙。

    ”今さらの自我”というか、”大人の秘密”というか、何か”共有すべきでないもの”が
    芽生えたように見えた。
    罅は自立と変化の兆しという気がした。

    登場人物は皆、根は優しくて思いやりのある人々だが、
    悪徳不動産業者だけは気持ちいいほど金の亡者だと思っていたら・・・、
    何とラストの素晴らしいことよ!
    あの菓子折りの使われ方と、男1の無駄な抵抗(に見えた)行動が
    こんな結末を呼ぶとは、想像もしていなかった。
    無欲で、素直な行動が、相容れない人の心をも変えてしまうという
    この「土禁」と「菓子」のラストシーンで、全てが報われ回収される。

    役者さんが皆、淡々とした台詞に気持ちを乗せるのが巧く、惹きつけられる。
    シンプルなセット3点を素早く移動させるだけの場転も効果的だと思った。


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    2024/08/31 01:16

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  • うさぎライター様

    この度は、観劇いただきましてありがとうございました!
    言葉になかなか出来ない曖昧な思い…誰にでもありますよね。それを受け止めてくれる相手!そう、そんな人の存在はとても大切ですね!うさぎライターさんの言葉でさらに実感しました☆
    エピローグは、ラストで救いを!という思いで作ったシーンでしたので、その思いが届いた!と嬉しく思っております。
    楽しんでいただけたようでサイワイです!ありがとうございました!
    今後も精進して参りますので、よろしくお願いいたします!

    2024/09/03 21:22

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