悪役志願 公演情報 黒色綺譚カナリア派「悪役志願 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    華を見せるセンスの卓越
    娼館の風情を、広い舞台に作りあげて、がっつりと魅せる。
    それだけでも、わくわくものなのですが、
    内に織り込んだ、ほろ苦くシニカルなテイストが
    また良くて・・・。

    序盤から中盤までの舞台に色に
    目を奪われ、
    終盤の物語の流れに
    目を見開き、満たされて・・・。

    作り手の色の醸し方の手練と
    描き方の懐の深さに
    どっぷりと浸ってしまいました。

    ネタバレBOX

    骨格がしっかりした舞台なのだと思います。
    冒頭のシーンで引き込んで、
    ストーリーの外枠をあっという間につくると
    娼館の雰囲気で舞台を満たし、
    兄妹の行く末や、その娼館の顛末で
    伏線たちを心地よく回収していきます。

    作・演出の手練から、
    キャラクターがそれぞれに持つ
    感触が見事に引き出されて・・・。
    役者のひとりずつから
    個々のロールの香りがが
    確かな質感とともにあふれてくる・・・。
    特に女優達の美しさというか舞台栄えには瞠目。
    役柄をまとって、美しさが際立つ感じ。

    娼館ですから、
    華こそが物語の説得力につながる。
    ちょっとビターなテイストも
    女性たちの華があるからコントラストを醸し、
    陰陽それぞれの世界に、
    観客をくぎ付けにしていきます。

    さらには、主人公が、
    その世界を背負い、
    あがき、
    抜け出していく後半にも
    前半の輝きがしっかりと効いていて・・・。、
    物語にたっぷりの落差があるからこそ、
    見えるものがある。
    妹が闇からから抜ける終盤にも
    前半とは異なったまばゆさがあって・・・。
    どこか貧しいなかで、
    あだ花の香りとともにある前半の輝きと
    豊かさに満ちた終盤を照らす光。
    それがすっと昭和という時代の流れを
    観る側にしなやかに刷り込んでいく。

    幅広の大きな舞台なのですが、
    場面ごとに見事に密度が作りだされていて瞠目。
    舞台の広さが、
    きちんとテイストを醸す力になっているのが凄い。

    その時代の風情を残しつつ、
    時間をしなやかに動かしていく・・・。

    観終わって
    よく、ここまで物語を運びきったなぁと
    感心。

    時間を忘れて見入ってしまいました。

    ○○●●☆☆







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    2010/08/23 23:04

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