ピノッキオ 公演情報 NPO法人アートネットワーク・ジャパン(ANJ)「ピノッキオ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    楽しさ溢れる舞台
    「子どもに見せたい舞台」シリーズのvol.4。前回の『ドリトル先生』も楽しんだので、今回も出かけた。
    やはり楽しい。入場のときから楽しい雰囲気に溢れている。

    前のほうの桟敷に座る子どもたちの、きらっきらした目も含めての舞台であったと思う。
    100分の舞台を子どもたちに飽きさせず見せる力は凄いと思った。

    今回も役者たちの生演奏が楽しい。
    前回に引き続き当パンもちょっと凝っている。

    ネタバレBOX

    ご存じ『ピノッキオ』の物語なのだが、例の「ウソをつくと鼻が伸びる」という設定がなく、それが非常に残念だった。
    それがないので、教訓的な面白み(笑)にやや欠けてしまったように思えるのだが、遊びほうけて怠けているとロバになって、売り飛ばされてしまうというエピソードは健在で、「夏休みの宿題をしないでロバになった子はいないか」と、なまはげ的な客いじりが挟まれ、同伴の親は少し愉快かも(帰宅してから「さぼっているとロバになるよ」とか子どもに言ったりするんだろうな・笑)。

    ラストは原作通りに、ピノッキオは人間の子どもになるのだが、それは「子どもたちは、親や先生の操り人形から脱して1人の人間になれ!」と、いうテーマでは、もちろんないのだが、教育と躾で一人前の人間になる、という物語でもなかったようだ。

    そこにあったのは、「親の愛」だ。

    ピノッキオを、その枝から作った森の女神は、ピノッキオを我が子のように思い、ピノッキオがどんなことをしても、寛大に許すし、ピノッキオの生みの親、ジェペットじいさんもそこは同様である。

    いわば、「罪と赦し」の物語であったようだ。
    すなわち、ピノッキオが人間の子どもになったのも「海の女神(くじらの形をしている)のお腹の中から出てくるときに、いろいろなことがあったため」ということで、「良い子になるから」的な、善因善果なんてこととは関係ないように見えた。
    つまり、我が子のことは、無条件にすべて赦すということなのだろうか。

    まあ、舞台の上では、ピノッキオが無分別にやりたいことだけ勝手にやるわがままな子、という印象も薄いので、「罪」というほどではないのだが。

    その代わりと言っては何だが、ピノッキオは「これからどうする」と自分の未来について悩むシーンが目に付いた(分身が出てきて)。「ずっとこのままなのか」なんて悩むのだ。これは大人に向けたメッセージのようだった。
    なんたって、人間になったピノッキオは、まだ悩むんだから。「うわー! 人間になれてよかったぁ〜」なんてノー天気ではないのだ、ピノッキオは。

    ピノッキオを騙すキツネとネコは、どうやら戦で負傷を負ったという設定らしいのだが、あんまりその点には触れなかったなあ。

    終演後、役者たちが衣装のまま、ずらっと並んで送り出してくれるというのも、子どもたちにはとてもうれしいことだろう。

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    2010/08/23 07:09

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