悪役志願 公演情報 黒色綺譚カナリア派「悪役志願 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    どんでん返し(?)が爽快
    少なくても、前回公演よりは、悠に好みの芝居でした。

    全体的に、これは、ムック版のジャン・ジュネ芝居?というテイストでしたが、最後の、思わぬ展開で、一気に、してやられた感で、「はい、負けました、ムックさん!」という気分になりました。(笑)

    牛水さん、片桐はづきさん、パラドックス定数の井内さんの存在感が印象的でした。

    シガラ役の反田さんの髪型は、まるで、現代の水商売青年のようでしたが、あれはあれでいいのでしょうか?

    セットに、先日、別の思い出したくない芝居で観たのと同じサイズのお月様が出て来ましたが、このお月様の方は、この芝居の雰囲気にジャストフィットでした。(笑)

    ネタバレBOX

    以前、息子が出演した、ジャン・ジュネの「バルコニー」に酷似した雰囲気の芝居でした。

    赤線が廃止になる前の昭和初期の娼婦達の物語。「バルコニー」的台詞も随所に顔を覗かせ、モチーフの芝居の骨格がしっかりしているせいか、前回の演目より、惹きつけられる部分が多く、結構、真剣に見入ってしまう部分も多々ありました。

    ストーリーテーラーになる謎の青年が、モノローグの度に「僕はまだ生まれていない」と言う理由が、ラストで解き明かされ、その思わぬどんでん返し的展開に、してやられた感で、一気に、爽快な気分になりました。

    穢れを知らない少女から、男性体験を積んで、落魄れた雰囲気の気だるい女性になるまでの、牛水さんの変貌振りがお見事でした。

    文学座の反田さんは、どうも他のキャストと、芝居の作りに違和感があり、損な役回りでしたが、いつもコメディ中心の市川さんが、後半、思わぬ好演をされていて、驚きました。息子が以前共演させて頂いた小長谷さんも、あの時代の男の生き様を巧みに表現されていました。
    パラドックス定数の井内さんには、改めて、実力の程を拝見させて頂き、嬉しくなりました。

    退廃的倦怠感漂う芝居だと思いながら、ずっと観ていたら、ラスト5分の意表をつく、不思議なハッピーエンド!!とても、奇天烈な爽快感をもたらし、愉快でした。

    個人的に、牛水さんの独特な英語の発音が、ツボでした。

    退屈でもなく、かと言って、すごく面白かったという類の芝居でもなく、久しぶりに、形容し難い、不思議な観劇体験の2時間でした。

    4

    2010/08/22 23:22

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  • tetorapack様

    ジュネの「バルコニー」は、鏡が重要アイテムとして多様されます。

    もし、ムックさんが、どこかでジュネをモチーフに使ったとしても、この鏡を一切出さなかったのは、彼女の裁量だろうと思いました。

    逆に、コクーンの「桜姫」の現代ブラジル版には、鏡が多様され、長塚さんもジュネに影響されているのかなと思ったりしました。

    息子の出演した「バルコニー」は、正確に言えば、「バルコニー」を上演する劇団の劇中劇として登場し、息子は、娼婦の館で、今で言うコスプレ風に、司祭の格好をして、娼婦の足を嘗め回したりする、母親にはかなり目に毒の難役を演じました。(笑)

    知り合いにはこぞって、わけわかんない芝居だったと酷評され、劇団主宰にも「あんな芝居、二度と出るな」とお叱りを受けたらしいのですが、私は、内心、「へえー、こんな芝居できるんだ!」と、息子に対して、ちょっと見る目が変わるきっかけになる舞台でした。
    なかなか、本当に、私には面白い芝居だったんですよ。
    当時、コリッチに参加していたら、ご覧頂けたかもしれませんね。残念です。

    2010/08/24 00:22

    KAEさん

    ジャンジュネの「バルコニー」、ほう、そんな作品なんですか。きっとモチーフにしていたんでしょうね。なんか、私、観たくなってしまいました。

    >それだけに、この芝居のラストは、「バルコニー」のように救いのない状況で幕となるかと予想していましたので、あの何だか、アメリカミュージカルチックなラストには、まあ!ムックさんらしさが突然出現!と驚き、快感めいたものを感じました。

    ほんと、それが、なんとも爽やかで心が晴れると言うか…。

    いやー、波長が同じだったかもと、私も微笑んでしましました。

    2010/08/23 23:30

    tetorapack様

    コメントありがとうございました。

    そうなんです。自分の観て来たコメントをした後、御感想を拝読し、ほぼ同じように感じられたのだなと驚きました。

    そして、たぶん、睡魔に襲われたあたりも同時刻だったのではと推測され、波長が同じだったかもと、1人で、笑ってしまいました。(笑)

    ジャンジュネの「バルコニー」は、日本ではほとんど上演されず、私も、息子の出演舞台を観るまでは全く知らなかったのですが、舞台設定や、登場人物の構成、台詞等、あまりにも酷似していたので、たぶん、ムックさんは、この作品をモチーフになさったのではと思いました。
    特に、奥さんを愛する術を学ぶために、娼婦の館に通う男達という情況設定や、娼婦宿が朽ちた後の、看板の壊れ具合とか、女将のこれからの行き方等、もし、この作品を知らないで書いたのなら奇跡的な程の共通性を感じました。

    それだけに、この芝居のラストは、「バルコニー」のように救いのない状況で幕となるかと予想していましたので、あの何だか、アメリカミュージカルチックなラストには、まあ!ムックさんらしさが突然出現!と驚き、快感めいたものを感じました。

    私も、あのラストがなければ、もっと評価は低かったと思います。

    2010/08/23 19:47

    KAEさん

    レビュー、興味深く読ませていただきました。非常に忙しく、観劇日程も混んでいて、書き込み、遅れて済みません。

    私も、KAEさんとほぼ同じように感じました。その上で、さすはKAEさん、と興味を持ったのは、
    >ジャン・ジュネの「バルコニー」に酷似した雰囲気の芝居
    という点。私は観ていないので何とも言えないのですが、そういうことって、あるのを私も感じることがよくあるので。

    >退廃的倦怠感漂う芝居だと思いながら、ずっと観ていたら、ラスト5分の意表をつく、不思議なハッピーエンド!!とても、奇天烈な爽快感をもたらし、愉快でした。

    これは言い得て妙の表現! 私も、まったく同感でした。このラストがなかったら、私の評価ももっと低くなっていたことは間違いありません。

    >個人的に、牛水さんの独特な英語の発音が、ツボでした。

    おっしゃる通り。この点も含めて、彼女の熱演は、芝居を終始、引っ張っていましたね。

    2010/08/23 18:35

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