ネコ目 HYPHY!! 鎮魂歌【ご来場ありがとうございました】 公演情報 桃尻犬「ネコ目 HYPHY!! 鎮魂歌【ご来場ありがとうございました】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    全部出し切った。
    一言でいうとそんな感じでしょうか。
    まぁ、あらすじ書きとフライヤーのイメージ写真から内容は何となく想像がつきましたけど、実際観てみると、イメージしていた通りのことが整然と執り行われていたりして、妙に感慨深くもあり、安心感すら抱いたほどです。(笑)
    世界と経済と・・・というところまではちょっと大げさな気もしますが、創世記から近代史までの世界史をピンポイントで振り返ることは、それ程の長い時を経て脈々と受け継がれるカルマの重みを伝える適切な表現でした。
    『呪い』と『救い』、『愛』と『受難』の洞察も非常に優れていました。
    あともうひとひねり、あらすじ書きを超える意外性があって欲しいところでしたけれど・・・。
    ところであえて挑発的な事前情報を振り撒いたのは、理解力のある観客のみを集客するための戦略だったのでしょうか。ちょっと気がかりですね・・。

    ネタバレBOX

    ある夜とある公園でミチオはカワイイ猫娘に出会った。彼女は名前をマリイと言った。
    彼女に想いを馳せるミチオは眠りのなかで彼女と出会った。可愛いマリイとミチオとは白昼夢のなか戯れた。

    そんなこととはつゆ知らず、ミチオに精通が来ないことを心配する兄のタカアキと姉のサナエ、そしてタカアキの彼女のアキコとサナエの彼氏のマメオまでもが、どうにかならないものかと考えあぐねる。

    業を煮やしたマメオはミチオのカマを掘り、性欲のマエストロであるらしい(自称)タカアキは、ご自慢のテクニックを何とかミチオに伝授しようと試みる。
    挙げ句、24時間テレビのチャリティーランナー素足に革靴でおなじみの石田某(らしき人物)を招き、ミチオの精通を手助けするも、シャイすぎるミチオの息子はうんともすんともいわない。

    ミチオらの家系は、彼らの両親がカーセックス中に事故って死ぬほど強い性欲に満たされた血筋であるのにどうしたものだろう。これは何かの祟りなのかしらん。なんて冗談半分で話していたところへミチオが恋する猫娘マリイが登場。

    彼女はタカアキの彼女であるアキコが趣味で殺しまくっていた猫のなかの一匹で、理由なきアキコの犯行に深い怨念を持ち、ミチオの性欲を奪っていたのだった。
    アキコの姿が目に留まったマリイの怒りは沸点に到達し、ついにマリイはミチオのイチモツを根こそぎ引っこ抜く。(←安部 定か!笑)

    辺り一面が血の海で染まるなか、タカアキらは神に救いをもとめる。虚空に手を伸ばす彼らの絵面はまるで、ルーベンスの宗教画、キリストの昇架のよう。
    彼らの祈りが通じたのだろうか。はたまたこれらはすべてフィクションで、すてきな夢のなかの出来ごとだったのだろうか。

    ルーベンスちっくな壁画からぴしゃっと飛び出るアレが印象的なフライヤーのイメージ写真における、ぴしゃっと飛び出るアレが、ナイアガラの滝のごとくボリュームアップした状態でとめどなく流れ出す(←ひょうきん族のひょうきん懺悔室的センスで! 笑)ソレを、修行僧のように脳天から浴びまくるミチオはほとばしる精液の海を苦難の果てに乗り越えて、やがてエロ本の自販機へと辿りつく。苦笑

    そして間もなく射精を完了させたミチオは、文字通り大人の階段を上るに至ったのだった・・・。

    射精=人間の成長として描く作品というのは自分は高校生の頃に、アメリカの映画監督トッド・ソロンズの『ハピネス』という映画を観ていたく感銘をうけていたので、その点においては、さほど新しいネタだとはおもわなかった。

    ただ、この家族は両親がアホな理由で死んだというのにクヨクヨせず、アカルク元気に、兄弟が協力しあっているというか、弟の精通をなんとかしてやろう、ということに兄弟愛めいたものが見てとれて、それがすごくいいとおもった。

    家族らが自分の気持ちを、それに近しいJ-POPの歌で済ませてしまう辺りが、適当でありながら適切である感じが、なんかセンスいいな、とおもった。ラストの『大人の階段上る』なんて特に。
    H20の「想い出がいっぱい」になぞらえるとは恐れ入った。

    正直言って、石田某が出てくるシーンはちょっと間延びしてる感はしてしまったし、石田某が革靴に裸足でない点もちょっと不満ではあった。
    そして、何故、奥の階段(ありますよね?確か)から出て来ないの?とはおもった。
    アレを武道館の階段にみたてて演出した方がよっぽど、フィナーレっぽくなるのに、とおもったりもしたけど、マリイ=聖母マリア、ミチオをキリストに見立てて制裁したりする着想はおもしろいとおもったし、マリイとミチオの恋もなんだかドストエフスキーの白夜っぽい幻想的な一面もあって、キュンとする場面もあった。

    ネタばれ外に書いた、あともう一歩とおもわれた何か、というものを考えていたのだけど、ごめんなさい、わからなかった。
    そういうものはもしかしたら、若さが恋しくなった時にふっと分かる類のものかもしれないのかも。

    0

    2010/08/22 22:51

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大