R 学 級 の 中 心 公演情報 荒川チョモランマ「R 学 級 の 中 心」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    見事な旗揚げ公演。
    もちろん気になるところはたくさんあるのだが、学生の旗揚げ公演と考えると、むしろ完成度は恐ろしく高い。前半は夏の木漏れ日の眩しさのように、学生時代のさまざまな場面が象徴的に描かれるがそれらがすべてきらきらと輝いている。

    公演の質の高さとともに公演に至るまでのプロデュースが見事で、旗揚げでありながら注目の公演となり、3日間で7回公演という強行軍で、全回満員にした制作力も劇団の力として大いに評価したい。

    舞台美術、音響、照明などのスタッフ力が学生としては最高水準であったこと、当日パンフに至るまで観客サービスが徹底していたことなど、特筆すべき点は多数。

    そういったことが若干の粗さを消して5星評価とさせてもらった。
    以下はネタばれで。

    ネタバレBOX

    後半はいじめ事件が起こりクラス討論会をするところがメイン。その討論会部分が台本がなく、役者のぶっつけ本番のエチュードによって作られる。これが今回のキーポイントである。アドリブ芝居でもなんどもやっているうちに形が出来て、結局台本があることと同じ状態になりがちだが、演出家は、わざわざ毎回犯人を変え、なおかつ真犯人を本人にしか伝えないという念の入れようで、この場に臨場感を出そうと工夫している。

    大変面白い試みであり、そういう挑戦をすることを私は好きなのだが、それが成功したかどうかは別。確かにそれまでの芝居と違う臨場感はあった。しかし、それと同時にリズムだとか、リズムによって保たれる緊張感が失われる。不用意な間、磨かれていない言葉。突然語尾が聞き取りづらくなるなど失うものも大きかった。そしてこのシーンが長いのである。このシーンが終わったあとは一気にラストシーンに流れ込む。

    ということで後半は前半に比べて完成度が低かった。ただそれにも関わらず、その挑戦姿勢が劇全体をアグレッシブにしたことは事実。予定調和的に心地よく終わることを選択せず、観ている人にもやもやを与えるのが狙いとしたら、見事だ。

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    2010/08/22 20:51

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