Deep in the woods 公演情報 終のすみか「Deep in the woods」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    東京を離れ、地方の林間部へと移住した旧友のもとを同級生の男女二人が訪ねる。祖父の別荘のあるこの森に一人で住んでいるのは、フリーランスのアニメーション作家と思しきシノダ(武田知久)だ。その幼稚園時代からの友人であるサトウ(高橋あずさ)とアオキ(串尾一輝)はともに既婚者で、アオキには2歳の子どもがいる。シノダの移住からは1年だが、3人が再会するのは4、5年ぶり。そのまま明け透けに懐かしい夜は明けてゆく。
    (以下ネタバレBOXへ)

    ネタバレBOX

    異変は翌日の昼頃に起きる。あと数時間で二人が帰るとなった頃に、息も切れ切れ、会話の応答もままならないシノダの異変に二人は気づく。そこでシノダが心を病んでいることをようやく、はっきりと悟るのである。
    心を病んだシノダに「大丈夫?」と数回尋ねた後にサトウが「何かできることある?」と質問を変えるシーンが印象的だった。そこには小さな変化の中に他者に寄り添う気持ちが忍ばされていた。そして、シノダは二人に「また来てくれる?」とたずね、二人は「もちろん」と応える。

    人は他者の心の異変にどこまで気づくことができるのか。
    本作を通じてそんな命題を問われたように感じた人は多かったかもしれない。
    しかし私が本作で最も強く感じたのは、人一人の存在が与える影響の大きさであった。私たちは、あなたたちは、私も、あなたも、存在しているだけでいい。それだけで誰かの今を少し救っているのかもしれない。たとえばこんな風にふらっと久しぶりに旧友に会いに来ることなんかで。それを戸惑いながらも迎え入れることなんかで。この「会う」ということのエネルギーの大きさを、孤独の沈黙を一つ破るだけで変わる風景もまたあるのかもしれないということを感じることのできる演劇だった。「大丈夫?」を「何かできることある?」に変えることでようやく聞こえるSOSがあるのだということも。

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    2024/07/21 17:57

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