逃奔政走 公演情報 フジテレビジョン「逃奔政走」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    都知事選投開票前後のこの時期に政治家1年目の女性候補者の街宣から幕が上がる舞台がやっている。議員の汚職を取り上げた舞台がやっている。そのことももっと知られてほしい。当確が出てからの3年半、県知事の彼女が何から逃げて何に向かって走っていたか。清さも濁りも描かれてます。

    エンタメにコメディにパッケージしながら県政や国政をしっかりと作品に持ち込み、そして観客を通じて作品の外、社会へと運び出していく。そのスタイルは劇団公演と何も変わらない。どの劇場だって、誰とだって、いつだって、アガリスクエンターテイメントはやっていることが変わらない。そのことにどれだけ痺れ、励まされたことか。そのことがどれだけ難しいかを知っているからなおのこと。(以下ネタバレBOXへ)

    ネタバレBOX

    主演の鈴木保奈美さんが家庭や仲間と政界での自分のギャップに誰より自身が戸惑う姿を等身大に演じられていて、公人も個人であるという当然を改めて痛感した。そこにメスを入れ、否、ラケットを切る寺西拓人さんの鋭い分だけ実は高温なポリシー。そのブレなさ、痛快さ。相島一之さんの配役がにくいことはもちろん、舞台上には描かれてはいない私生活やバックボーンに裏打ちされた人間の可笑しみや情けなさが背中や横顔に映し出されるようでした。表情や声色の緩急がシーンのうねりとなってより笑いましたし呆れました(そういう役柄なのです!笑)

    そして、なんといってもアガリスクメンバー(常連客演含む)が本当に魅力的。まじの一人残らず全員がバチっと役にハマりつつも想定以上の魅力を見せつけるようでもあり、かっこよくて、なんというかすごく清々しかった。いわゆる小劇場でやってきたこと、やっていることをある意味でリサイズせず、それでいて三越劇場を全く持て余すことなく、むしろ可能性を拡張すらする様に走り抜いていることが。
    私は熊谷有芳さん(今作で久々の舞台復帰)演じるアクティビストに共感したけど観る人によって様々な人にシンパシーあるいはエンパシーを抱けるような、全員にきちんとドラマがあること、それらが手をつなぎ合って作品そのものの源流となっていること。人間の悲喜交々が出発点になった冨坂さんの劇作に私はやはりとても惹かれます。
    この公演を面白いと思って、ホームであるアガリスクエンターテイメントの作品を観たことない人は是非劇団公演も観てみてほしいなあ、なんて思いました。きっと楽しんでもらえると思います(違いではないけど、劇団公演の方がやや屁理屈濃いめ背脂ありって感じ!笑)

    0

    2024/07/21 17:23

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大