かもめ 公演情報 TPT「かもめ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    しんどかったのは暑さのせいだけじゃない
    屋外での公演、異常なまでに暑い夏、上野という都会の騒音

    そういったネガティブな状況は、とりあえず棚に置くとしても
    もっと練れたんじゃないかと思えた舞台

    ネタバレBOX

    ラストシーンでトレープレフが死なないのは賛否両論だろうけど
    もはや現代で自殺などというものはありふれた事象で
    何の衝撃も与えないし、芝居で嘘をやるくらいならああいった終わり方でも
    私は良いと思う。

    以下、どこら辺が駄目だったのか
    不快に思う人もいると思うのでネタバレに

    まずトレープレフとニーナ。
    恐らく2人ともハーフと思われる端正な顔立ちで、美しい身体つきだった。
    しかし、台詞が全部同じテンポで、ただただひたすらに次から次に喋るだけ。
    そのため観客の感情移入も出来ないし、どこを伝えないのか
    何を表現したいのか、まったくもって届いてこない。

    演出家は2人に何か言うべきだったんじゃないだろうか?
    まだまだ若いし地力もありそうなので今後に期待。
    テンポが速いのは良いとしても延々とテンポが変わらないのは改めるべきだったと思う。

    マーシャ
    これは彼女のせいではないかもしれないけれど死に間が多い。
    なんで突っ立っているのか分からないところがあるし、
    そのせいでやり場のない笑顔を見せるのだけど、それが場面にそぐわないところが見受けられた。とくに第4幕。

    ポリーナ
    いや若い人を使ったのはいいけど、マーシャと親子には見えない。
    別に見えなくてもいいなら、もう少しドールンとの絡みをしっかりやらないと
    せっかくの見せ場なのに、なだらかに終わってしまった。

    ドールン
    かもめの台詞に、「ホテルの部屋で台詞を覚えている時間が幸せ」というものがあります。

    アルカージナ
    登場する中で唯一と言っていいほど良かった。
    ただ、トレープレフとの絡み、トリゴーリンとの絡みで相手が受けられてない
    せいでかわいそうな気がした。

    トリゴーリン
    台詞があって、それを喋っている感じで
    トレープレフやニーナもそうだったように
    メリハリが無い。
    特に作家としての使命を語る部分と、ちょっとした短編の題材を語る部分が
    まったく同じ調子なのはいかがなものかと思う。
    いま思いついたことと、考え続けてきたことが同じなわけがない。

    結局、何か場面や状況に対して意志めいたものを持っていたのが
    もしくは、それを表せていたのはアルカージナだけだった。
    第4幕のニーナとトレープレフに見るべきものはあったけど
    そこに到達するまでに問題がありすぎて、もっともっと良くなったはずだと思う。

    そして、その状態で上演しているのは
    全て演出家の責任。

    音楽を使ったり
    オバーザレインボウを歌ったり
    そういった演出には好き不好きがあるだろうけど
    もっと基本的なことが出来ているからこそ
    そういった演出は映えるのであって
    この状態では単に機をてらったと言われても仕方がない。

    もっともっと個人の役者と向き合って
    その個性たちを『かもめ』という舞台で活かしてあげて欲しかった。

    そして、何のために『かもめ』をやったのか
    それが分からなかった。

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    2010/08/19 16:33

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