広島に原爆を落とす日 公演情報 RUP「広島に原爆を落とす日」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    様々に、つかさんの逝去を実感して、
    言葉には表せない、絶望的現実を、改めて痛感しました。

    この芝居、コクーンで上演する芝居ではないと思う。

    そして、つか芝居を演じきれる人と、全く演じられない人が、入り混じり、まるで、舞台の統一感がない。

    私が、この作品をかつて観たのは、もう、40年近く以前のことなので、正直、その当時の具体的な舞台情景は覚えてはいませんが、でも、その時には、こんな違和感は感じませんでした。

    この舞台で、つかさんの台詞を、つかさんの伝えたいニュアンスで、言えた役者さんは、主演の筧さんと、山本さんと、山口沙弥加さんと、後お1人、終盤近くに台詞のあった若い男優さんのみ。
    それ以外の役者さんは、あまりにも、つか芝居の本質とは掛離れていました。

    つかさんの芝居は、その上演時の社会情勢や、新たな真実により、その都度変容して行く作品なので、同じ原作でも、全くテーマさえも変容するところがあり、だから、もう、今後、本当のつか芝居を観られることはないのだという、悲しい現実を、改めて、痛切に認識し、悲しさで、胸潰れる思いでした。

    カーテンコールでの、見えない人物へのスポットライトは、本当に、その方を失った喪失感で、胸がいっぱいになり、芝居以上に泣いてしまいました。

    ネタバレBOX

    つかさんの芝居は、昔から、粗筋で説明しようとすると、「何?それ?」って感じになり、とにかく、体と心で、ダイレクトに受け止めるライブ演劇の真髄的舞台なのに、今回の出演者で、つかさんの伝道師になれる役者さんが数名しかいないのは、本当に、悲劇的でした。

    ダンスは、お粗末過ぎて、目を覆いたくなるし、もう、学芸会以下。
    稽古場で、振りをつけられた直後の、やっと身振り手振りを覚えた程度の所作で、驚きました。地球ゴージャスとか、TSレベルの踊りができなければまして、つか芝居で、踊るレベルではありません。

    素人レベルの役者のせいで、若い観客に、つか芝居の真髄が伝わらないのは、本当に、ただただ残念!!

    星は、全て、つかさんと、筧さんと山口さんに…。

    7

    2010/08/18 20:44

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  • KAEさま

    >私に近しいある劇団への御意見は、是非、その劇団の主宰に、直接お願い致します。(笑)
    >番外公演にオススメの台本を教えて下さいと、以前ブログで書いていたように思います。

    はい、アンケート用紙にも、そのように書いてあった記憶があります。

    >彼らは、基本的な俳優訓練のできているメンバーが多いので、案外、北区つか劇団より、確かに、滑舌はいいかもしれません。

    同感です。

    >私は、戯曲セミナーの同期生とのエクササイズで、さんざん、作家としての資質も、ましてや演出なんてまるで、不向きを悟ったので、家族に時々頼まれる、陰のプロデュース以外は、手を初める気はなく、これからも、観劇一筋で行こうと思っています。(笑)

    あ、先手を取られた!(笑)
    「観劇一筋」でも結構なのですが。その確かな目が必要なのですよ。目だけじゃなくて、実際に演劇活動に身を置かれた体験をお持ちですし。
    このごろ若い人たちが70年代を背景にした芝居をやる機会が原作物だけでなく、オリジナルでも増えてきたようです。若い人は若い人の感覚で自由にやればいいと思ってますが、「監修」のような立場の人もスタッフに必要な気がしています。そして、その「監修」というのは、単に昔を知っているとか、当時の芝居も観ているとかの人物でなく、劇作のことも技術的に知っているかたが望ましいのです。私のように観る一方ではダメですが、KAEさんのように脚本も書かれていて、演劇も内からご存知のかたにこそ打ってつけです。「監修」は作品作りにおいて、大切です。最初のプランニングから関わり、稽古にも立ち会っていく人という意味ですが。全面演出とかでなく、「陰の」お立場で結構なのです。ほら、歌舞伎でも、「○代目はこうだった」とか昔の話をしながら若手を指導していく古参のかたがいるように。
    演劇を全身全霊で愛し抜いたお父上でしたから、その遺志やDNAを継ぐかたとして、演劇評論の立場だけでないかたちのアクションをぜひお願いしたいのです。KAEさんのレビューを拝読しながら、最近痛感していることです。決して社交辞令でなんかで申してませんので、なにとぞ真意をお汲み取りくださいますように。

    2010/08/21 10:30

    きゃる様

    そうでしたか!唐さんの方は、ご自身の手で、次世代への継承に力を尽されているのですね?

    私、唐さんの芝居は、どうも、自分には不向きな予感がして、一度も、行ってみようかとさえ思わなかったのですが、時々ドラマとかで拝見する、唐さんの演技は結構好きでした。「北の国から」の演技は、今でも印象深く覚えています。

    私に近しいある劇団への御意見は、是非、その劇団の主宰に、直接お願い致します。(笑)
    番外公演にオススメの台本を教えて下さいと、以前ブログで書いていたように思います。
    彼らは、基本的な俳優訓練のできているメンバーが多いので、案外、北区つか劇団より、確かに、滑舌はいいかもしれません。

    私は、戯曲セミナーの同期生とのエクササイズで、さんざん、作家としての資質も、ましてや演出なんてまるで、不向きを悟ったので、家族に時々頼まれる、陰のプロデュース以外は、手を初める気はなく、これからも、観劇一筋で行こうと思っています。(笑)

    きゃるさんこそ、いろいろ博識でいらっしゃるのだから、何か始められたらいいのに…。

    私は、もし生まれ変わったら、今度こそ、回り道をせず、演劇プロデューサーを目指したいとは思うのですけれど…。
    英語が苦手なばっかりに、演劇科のある大学を諦めたのが、運のツキでした。

    2010/08/20 23:42

    KAE様

    >唐さんは、私は食わず嫌いで、全く未見ですが、そうでしたか!あちらは、まだ次世代に継承して行く空気が感じられるのですね?

    唐さんが食わず嫌いっていう気持ち、すごくわかります。私も、アングラのテント芝居は最初、オーバーアクションや、環境面で苦手だったりしたんですが、若いユニットのおかげでたまーに(笑)接するようになりました。60-70年代の芝居の生き証人である唐さん本人が生きてるうちに、自分の作品で、若手の違うタイプの演出家を育成してるというのは、すごくよいことだと思ってます。だって、育成しないと、極端な話、カリスマの死後、「戯曲の死」につながる危険もあるわけで。唐さんの当時の雰囲気を忠実に残す演出をする人もいれば、スマートな現代的な演出をする人もいて、面白いです。幸い、自分が体験した範囲では、「改悪された」印象のユニットにはまだ出会っていません。むしろ逆です。

    >戯曲としては、完成系の井上さんの作品だって、私は、原作者が亡くなった後は、あの心底大嫌いな演出家の演出舞台しか拝めなくなるのかと危惧しています。

    ファンとしては怒り心頭、絶望ですよね。先日のMOMOでの奇しくも追悼公演となった独歩プロデュースの「父と暮らせば」はテアトル・エコー時代、井上さんと同じ釜の飯をくったスタッフも参加してて、本当に素晴らしかったです。「井上さんを心底尊敬してた」メンバーが集結してた感じで。KAEさんにぜひ観ていただきたかった。会場の隅々、全員、井上さんへの尊敬と愛であふれてた。若いスタッフも。特に、アングラ系の劇団にいて井上さんとは縁がなかったという女性の美術が素晴らしく、「井上さんの作品で、これまで皆さんがご覧になったようなお金をかけた立派なセットではないけれど、頑張って作りました」とパンフに書いてあり、真心のこもった美術でした。きっと会場のどこかで井上さん、ごらんになってるのでは、と思いました。「お金は大切だけど、お金だけじゃいい芝居は作れない」って、この公演でつくづく思い知りました。特に井上戯曲はお金じゃない!と(このユニット自体は解散したけど、また、スタッフが集まってくれないかしら、と思ってます。今度、お手紙出してみようかな)。

    >つかさんにも、井上さんにも、禁煙してもっと素晴らしい作品をまだまだ世に残して頂きたかったなあと、つくづく悔しくてなりません。

    これは本当にそう思いますね。お二人ともヘビースモーカーでしたものねぇ。つかさんの場合は、ご本人による演出が重要なことなので、後継者育成ということでは解決できなかったかもしれないし、KAEさん、genieさんが話されてるように、「時代の熱気」も重要なポイントかもしれませんが、人間、寿命には限りがあるだけに、つかさんにも、ご存命のうちに、「自分の空気を観客の共通財産として残す」ための何か手を打っていただきたかったという思いが私にはあります。
    3年前くらいだったか、日芸の学生の卒業公演で、清水邦夫さんの「ラブレター~愛と火の精神分析~」が上演されたのを観て、あの時代の熱気が伝わってきて、身震いしたことがあります。若い人が演じて、ここまで再現できるのか、と。戯曲をからだで読み込んだ学生たちに感動しました。舞台美術も学内コンペで選ばれ、落選した数案も、模型が展示されたのだけれど、どれも素晴らしいプランでした。指導教授は60年代、新宿アングラに通った世代のかたでした。あの時代の空気を肌で感じた人が若い人を指導する、若い人に期待するしかないなぁ。
    KAEさん、これは切なるお願いなのだけど、何らかのかたちで実現してくれませんか。あの学び舎の演劇部にいてあの時代の空気を吸った人なら、伝えられると思う。いましか、できないと思う。私は、先の「8割世界」の番外公演のそらみさんの作品を演じてた若い俳優さんたちを観ながら、ふとそういうことを考えてました。真剣に、ね。ここに書くことじゃないかもしれないけど。また、いつか、ゆっくり話しましょうか(笑)。

    2010/08/20 12:52

    きゃる様

    まあ!きゃるさんは、つかさんの舞台にも、昔通われていたのですか?

    だとしたら、私達って、一体どれだけの劇場で、すれ違っていたんでようね?

    お互い、観劇始めた時期もほぼ一緒なんだし。それに、先日、同じ学校に通った頃は、御近所だったことも判明したし…。
    何だか、奇遇が重なって、驚いています。

    唐さんは、私は食わず嫌いで、全く未見ですが、そうでしたか!あちらは、まだ次世代に継承して行く空気が感じられるのですね?

    戯曲としては、完成系の井上さんの作品だって、私は、原作者が亡くなった後は、あの心底大嫌いな演出家の演出舞台しか拝めなくなるのかと危惧しています。
    つかさんにも、井上さんにも、禁煙してもっと素晴らしい作品をまだまだ世に残して頂きたかったなあと、つくづく悔しくてなりません。

    2010/08/20 04:44

    KAEさま

    >私も、後年のつかさんには、何か着いて行けない部分もあり、北区つかこうへい劇団は、たぶん一度しか観ていないと思います。
    阿部さんが御出演だった、「熱海殺人事件」は、ストーリーが全く変わっていて、驚き、それなりに衝撃的でしたが、加藤さん、平田さん、風間さん、三浦さん達の時代を知っていると、どうしても、役者さんお技量の差が気になって、のめり込むことができませんでした。

    まったく同感です。KAEさんも似たようなこと感じていらしたんですね。阿部さんの熱海は、昔TVのドキュメンタリー風の番組か何かで一部を見たのですが、「あれ、こういう作品だったっけ。違うような・・・」と違和感をおぼえました。あのころは、まだ阿部さんもいまのような演技派という感じではなかったですね。モデルから俳優に力を入れ始めたころ、仕事で接したのですが、まだヒョロヒョロしてて、神経質なところはありましたが、いまのように性格俳優というイメージも固まってなくて近寄りがたい感じはなかったですし。

    >マキノさんも、横内さんも、新感線の井上さんも、かつてはつかさんに傾倒して芝居を始められたけれど、今は、独自の作風を確立され、皆さん、それどれのカラーになりましたものね。
    >でも、この芝居、観ながら、ちょっと思ったのです。新感線が、一番、つかさんを次世代に継承しているかなって。

    ここもすごく同感です(笑)。新感線についてはわたしもそう感じます。

    KAEさんやgenieさんが語っておられるように、つか作品は時代によって演出も変化していったわけですが、演出面では、ご本人の存在が大きかっただけに、今後、ほかのかたが演出するとなると、なおさら、成功したといえる舞台は難しいかもしれません。稀有な才能の持ち主だったのでしょうね。天才が中心にいた劇団ほど、その人の死後は難しいのが常ですし、おっしゃるように時代の熱気というのも関係してきますしね。。最近、感じるのは、CoRichでは「観てきた!」が少ない唐十郎さんなどは、口立ての演出もされますが、何人か若い演出家を育てていて、ユニットによって作品の印象も違うのが面白く、(アングラ嫌いな人にはみな同じ、と言われてしまうけど 笑)作品の継承という点では、将来に少しは光明を感じています。

    2010/08/19 22:44

    genie様

    本当に、そうですね。
    私と同じように、つかさんの全盛期を御存知だったとは知りませんでした。
    もっと、お若いのだと思いましたから…。

    私も、後年のつかさんには、何か着いて行けない部分もあり、北区つかこうへい劇団は、たぶん一度しか観ていないと思います。
    阿部さんが御出演だった、「熱海殺人事件」は、ストーリーが全く変わっていて、驚き、それなりに衝撃的でしたが、加藤さん、平田さん、風間さん、三浦さん達の時代を知っていると、どうしても、役者さんお技量の差が気になって、のめり込むことができませんでした。

    ですから、プロデュース公演も、一切行かなかったのですが、今回は、筧さん主演なので、久々行ってみたのです。

    全体的には、レビューに書いた通りですが、でも、筧さんは、予想通り、素晴らしかったので、観劇自体後悔はしてはいないのですが…。
    あまりにも、山口さん以外の女優さんが、唖然で…。メイサさんなら、立ち居振る舞いとかが綺麗で、まだ見られただろうと思うのですが…。

    本当に、昔の名作のビデオがないのは残念ですね。
    今の若い人に、本当のつか芝居はこうだったって見せて上げられないのが悔しいですね。

    マキノさんも、横内さんも、新感線の井上さんも、かつてはつかさんに傾倒して芝居を始められたけれど、今は、独自の作風を確立され、皆さん、それどれのカラーになりましたものね。

    でも、この芝居、観ながら、ちょっと思ったのです。新感線が、一番、つかさんを次世代に継承しているかなって。

    2010/08/18 23:00

    KAE様、

    お気持ち、お察しします。

    今の若い方にいくら言葉で説明しても、うまく伝えられないのですが、
    つかこうへい全盛期は、それはもう、すごいものでしたよね。
    なんというか、パワー全開で、支離滅裂で破天荒な演出ながら、
    人間の卑小さや悲哀を存分に描いて、私たちの心をわしづかみにしました。
    まさに、つかさんは演劇界の風雲児といってもいいくらいのカリスマ的存在でした。
    その同時代に彼の作品を何本も見ることが出来た事、本当に幸せでした。

    残念ながら、おそらくその神髄をエッセンスを、どなたも再現することはできません。
    つかさん自身の演出さえ、後年のある時期から変質していったように感じ、
    悲しくなって、もう見まい、思い出としていい時期の記憶は取っておこう、と思いました。

    なぜなのか、私にもよくわかりません。
    過去の作品の思い出を、私の中で無意識に美化しているのかもしれません。
    たまたまあの時代の空気が、いい作品が次々生んだのかもしれません。

    映画とは違い、舞台作品は刹那、二度と同じものを見て感じることが出来ない。
    そのライブ性が良いのだ、とは言われますが、実にせつないものですね。

    古典作品などは次の世代の演出により、作品がさらに時代に合わせて成長する、
    というケースもありますが、
    つか作品に関しては、もうこれで終わりにした方が良い気がします。

    普段の私は作品のDVD化には冷淡ですが、
    ただ唯一、つかさんの過去の(’80年代前半までの)作品については、
    せめて映像が残っていれば、と残念でなりません。

    2010/08/18 21:49

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