夜も昼も -Night and Day- 公演情報 文月堂「夜も昼も -Night and Day-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    その時間を描きだす力
    観ているときにはややラフな感じがするにも関わらず
    終演時に残る感覚がとても確か。

    表層的な事象の肌触りが
    その重なりが崩れるなかで醸し出される感覚を
    しっかりと浮かび上がらせて。

    観終わってからじわっと降りてくるものがありました

    ネタバレBOX

    寓意的な表現の使い方が
    作品に風通しを作って
    物語の質感を柔らかく作りあげていきます。

    ふたつの場面が
    ミルフィーユのように重ねられることで
    生きていく人々の広がりと個性が
    しなやかに醸し出されて・・。
    劇団の雰囲気にしても、会社の有りようにしても
    浸りきっていた雰囲気や空気が失われていく感覚は
    ゆるく崩れるようにやってくる。
    そのゆっくりと溢れだして瓦解していくものの
    質感に息をのむ。

    下世話だったり、生々しかったり、
    ときにはなにか痛く滑稽だったり・・・。
    都会のさまざまな側面を見せたり・・・。
    それぞれのエピソードを素直に追っていくうちに、
    むしろ突き抜けることなく、
    どこか取り残されたような想いが
    汐の引いた砂浜の貝殻のように残るのです。

    志をもって上京したとしても
    結局は突き抜けることなく、埋もれて、
    その時々を場当たり的に過ごしてしまった10年の質感が
    終演時にはしっかりと観る側に置かれていて。

    田んぼで鳴く蛙たちや
    飼われていて逃げ出した蛙の姿が
    すっと物語の質感に重なります。

    役者たちのお芝居には
    線の太さが担保されていて、
    ここ一番の腰の入ったお芝居も生きる。

    時が満ち、
    やがて腕からこぼれおちていく・・・。
    どこかあやふやで掴みどころのない時間を
    くっきりと描き出す
    作り手の力に囚われてしまいました

    2

    2010/08/18 07:22

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  • きゃる様

    コメントありがとうございます。
    また、拙い感想をお読みいただいたとのこと、
    あわせてお礼申し上げます。

    文月堂は初見だったのですが、
    お芝居全体をうまく使っての
    感覚の炙り出し方の手練に
    感心しました。

    今回のような感覚の表現って、
    やはり演劇の世界ならではのことかと思います。

    こういう作り手のお芝居は、
    今後も観続けたくなりますね。

    2010/08/18 17:50

    りいちろ様

    はじめまして。自分がうまく表現できなかったことが、りいちろさんのレビューにくっきりと書かれていて感服しました。

    >その時々を場当たり的に過ごしてしまった10年の質感が
    終演時にはしっかりと観る側に置かれていて。

    まさにその通りだと思いました。

    >表層的な事象の肌触りが
    その重なりが崩れるなかで醸し出される感覚を
    しっかりと浮かび上がらせて。

    この部分も素晴らしい表現なので、tetorapack様へ寄せた感想コメントの中で、引用させていただきました。

    2010/08/18 10:41

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