満足度★★★★★
愛する人の頭上に原爆を。逆説的に唱える平和。演劇で歴史をねじ伏せてみせる。
にわか演劇ファンの私ですが、つかさんがもういないと思うと、超涙もろくもある私は最初っから泣きっぱなしでした。
パンフレットにあった「歴史をねじ伏せる演劇」という表現そのままに、開戦から原爆投下までの、様々な歴史と実在の人物が、不謹慎などという言葉は飛び越えて、見事に荒唐無稽に再構築されて猛スピードで駆け抜ける。
原爆投下も、ナチスドイツも、第二次世界大戦のすべてが、ただ2人の愛のために動いているかのように。
こんな物語は、つかさんにしか書くことができないのではないか。
それにしても、筧利夫、武田義晴、山本亨 らと若手勢の歴然としたパワーの差。
この差に全く気づくことのなかった「飛龍伝2010」に、遠く及ばない距離を感じる。
容貌からも黒木メイサを思わせる仲間リサは、まだまだ磨き足りない、出し切ってない。
まさかここで出会うとは思わなんだリア・ディゾンの声量の無さはさておき。
カーテンコールでは、無人の舞台中央に、スポットライトが当てられて、つかさんに拍手を。
終演後、パンフレットの追悼の言葉を読んで、また泣いた。
しかし、周囲の観客の反応は普通にみえたのが、とってもさびしかった。