物語ほどうまくはいかない物語 公演情報 wag.「物語ほどうまくはいかない物語」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    物語作家の自虐コメディなのだが、むしろ環境から見た家族コメディになっている。
    やっと編集者(森崎健康)に「かまってもらえる」ようになった三十歳ほどの女性本の作者(井上夏美)が主人公である。編集者にデビュー後初の作品を読ませなければならない時期になっていて、できあがった作品を父親(秋葉陽司)の手を借りて、完成するが読ませてみるとまるでダメ。ここから、姉や、同時出発の仲間のフーゾク体験を生かして伸びてきた作者(石川まつみ)が絡んで、あれこれと喜劇的展開になる。
    父が家を出ていてが一年ほど前に戻ってきて、娘と共作するようになる、とか、父と編集者がラグビーの共通趣味があるとか、スジの展開では、編集者が最後に職場を変えることになるとか、父親ががんになって余命が少ないとか、最初にスジ売りした肝心の作家としてはどうなるんだ(生き方)という主筋を外した(うまく絡めていない)エピソードが多く、賑やかだが雑然としていてとっちらかっている。
    もっと上手く転がして、最後は三十歳を迎える「今を生きる」女の哀感も面白くドラマにして欲しい。とにかくテーマを絞ることが肝心で、人物もエピソードも無駄が多い。(逆にそれがないと転がらない、としているところも見えある。そういう人の良さは演劇ではいけない)。
    旧作をいじっている時期ではない。同世代では、少し上の横山拓也はこの時期を上手く乗り切って大劇場もこなせるようになった。経験は何より大事な時期だから乱作と言われてもいい、経験を積むことを期待している。新国立の「12月」やトップスのEPOCKMANの「漸近線」はなかなか良かった。ヴァンダインもなかなか素敵な冒険だった。しっかり頑張れ!


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    2024/05/22 11:24

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