『雲を掴む』東京公演 公演情報 渡辺源四郎商店「『雲を掴む』東京公演」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    レビー小体型認知症を患い、リアルな幻視と暮らすウォリス(山村崇子さん)。1984年、診察に来た医師や看護士がその話を聞いてあげている。

    個人的に一番面白かったのはアフタートークで工藤千夏さんが語った、「昨年公演した『千里眼』のDVD、まだ1枚しか売れていません」だった。

    ネタバレBOX

    1931年、英国で王太子エドワード・デイヴィッド(桂憲一氏)と出会った既婚のアメリカ人女性、ウォリス・シンプソン。惹かれ合った二人は不倫関係となる。
    1936年、デイヴィッドはエドワード8世として王位を継承し、ウォリスは離婚裁判に勝訴、晴れて結婚しようとするも様々な反対に遭う。(イングランド国教会は離婚者の元配偶者が存命の場合、再婚を認めなかった)。到頭彼女と結婚する為に国王を退位した。(その後、公的にはウィンザー公爵と呼ばれる)。
    1937年、フランスで挙式しパリ(ブローニュの森のはずれにあるヴィラ・ウィンザー)で暮らす二人をアドルフ・ヒトラー(大井靖彦氏)がドイツに招待。熱狂的な歓迎を受けて気を良くした二人はナチス擁護の発言を繰り返す。ヒトラーは英国を占領した後の傀儡政権としてデイヴィッドを国王に任命することまで決めていた。
    1945年5月、アメリカ軍が手中に収めたナチス・ドイツの機密文書「マールブルク・ファイル」。その中に収められていた「ウィンザー・ファイル」が1957年に公開される。デイヴィッドは「ユダヤ人陰謀論」を信じ、英独が開戦しても秘密裏にナチスと連絡を取り合っていたこと。ロンドンが空襲に遭っている中、「これを続けることこそが和平への最短の道」だと助言したこと等が暴かれる。
    1972年5月28日、デイヴィッド死去。
    1986年4月24日、ウォリス死去。

    1936年、アドリア海のヨットクルーズにてダイアナ・クーパー(山藤貴子さん)夫妻、デイヴィッド夫妻が共に過ごすシーンもある。

    アドルフ・ヒトラーの亡霊を演ずる大井靖彦氏がMVP。妙に艶めかしい潤んだ瞳。

    20世紀最大のスターはヒトラーだと自分は思っている。映画小説漫画、どれだけ影響を及ぼしたことか。今作ラストでイスラエルのガザ地区におけるホロコーストに触れられるが、そもそもそこに話をフォーカスして作劇すべき。ホロコーストから生き延びたユダヤ人が創った国がホロコーストを行なうユダヤジョーク。あの世でヒトラーも大受け。これをエドワード8世ネタと繋げるには無理がある。劇団印象の『犬と独裁者』のように、永遠に繰り返される人間の業にクローズ・アップするべき。

    0

    2024/05/09 21:30

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大