楽屋 公演情報 The30’s「楽屋」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ユニット結成15周年
    初日に観るつもりが完売していて千秋楽の観劇となった。The30'sは30代でフリーで活動する4人の女優で結成したユニットで、今回は結成15周年記念公演。階段部分の壁にこれまでの公演の舞台写真が展示されていたが、最初は白黒写真で、当然のことながら全員若い!歳月を感じた。
    実際にはメンバーは40代を迎えたわけである。オリジナル以外の原作のある芝居は今回が初だという。「原作の4人の女優」プラス6人の女優を加え、柱のある「楽園」の舞台構造を生かした演出。女優が演じたがる人気作品だけあって、演出や俳優によってまた趣が変わり、魅力的な作品で私はとても好きだ。

    ネタバレBOX

    「楽屋」のあらすじは、最近、別の劇団のレビューに詳しく書いたので、今回は省略します。
    この公演は鏡を使い、劇場構造を生かしたセットで、さらに6人の女優を登場させたので、「楽屋」にいる女優がA(春日亀千尋)以外、実はもう亡くなっていて、姿は見えていても実は亡霊なのだということが伝わりやすかった。
    女優C(松永麻里)は「斬られの仙太」の場面を笑いを抑えて演じ、むしろ首にためらい傷がいくつもあり、いつもは凄惨な影のある印象の女優B(深水みゆき)のほうに明るいバイタリティーが感じられたのが、面白かった。
    女優D(越智絵里花)は、Aと争って倒れる場面で血糊を使うことで、より負傷の重さが伝わり、次に出てくるとき、亡くなっていることがわかりやすかった。ほかの演出で観たときは昏倒しただけなので、亡くなったかどうかが初見ではわかりにくかった。もっともこの芝居は、事前にあらすじを読まなければ4人の女優が亡くなっているかどうか気づきにくく、そこが面白いところでもあるのだが。女優DはAのプロンプターを務めていた後輩の若手女優という設定で主に若い女優が起用されるが、越智の場合は年相応に見えるし、声は若くつくっているが堂々としているので、安定感がある反面、多少違和感があった。
    女優Aが女優という職業への心情を吐露する場面は、さすがに年輪が出て、言葉の重みを感じた。今回はこの場面で赤い照明を使い、清水邦夫作品らしい雰囲気が感じられた。帰るときにドレスに着替える場面は、どの公演でも女優Aの艶やかさを見せるところだが、今回、かなりセクシーな衣裳で背中のファスナーが長いためか閉まりにくく、何度も閉め直したあげく、上が少し開いたままで出て行くが、これなどは演技ではなく、本当に閉めにくかったようにみえてハラハラした。
    ラストの「三人姉妹」の台詞を言う場面を3組9人で演じることにより、自然、台詞も長くなってインパクトがあり、「楽屋」が女優の亡霊たちのいるべき場所ということを印象付けた演出。森川真己子の澄んだ声と明瞭な台詞、ひときわ輝く美貌が目をひいた。さいたまゴールドシアターでも活躍している渡辺杏奴は「こういう年を経た亡霊もいるだろうな」と思わせるが、声量のないモタモタしたしゃべりかたが個人的には気になってしまう。
    「亡霊たちはもし鏡に映った自らの姿に気付けば、その時にようやく、同じものを見ることができるのかもしれない」というパンフにある今回の演出家・原田一樹の言葉を表現したかのようなラスト・シ-ンだった。

    15年も活動を続けているせいか、終演後の様子では観客のほとんどが劇団員の知り合いのようだった。当日は満席。開場前に受付を済ませてスタッフの指示通り劇場外の列に並んだが、開場されると受付を済ませていない客が列を無視して先に階段を下りて受付に行き、「○○さんに券頼んであるわよ」とか言って清算してそのまま入場してしまう。整理券を配るかどうかは未定との事前の話だったが、列に並ばせても清算・未清算を分けないなら、整理券を配ったほうが良いと思う。この受付入場法には疑問が残った。入場すると後から来る知り合いのための荷物による席取があちこちで行われ、目の前で席がたちまち埋まっていき、戸惑う。能楽の会なども身内客が多いため、不在者の分の席取は主催者が禁じているというのに。アンケートも配布されるが「筆記用具お貸しします」の声掛けもなく、「今後の活動にさせていただくのでアンケートにご協力ください」というアナウンスもなし。身内しか来ないのでアンケートは重視していないらしく、会場を最後のほうに出るとき、スタッフの手元にも2枚程度しかなかった。たまには外部の客も来るのである。身内の常連客が多い劇団のスタッフワークの悪い面が出ていると感じた。

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    2010/08/09 16:08

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  • abo様

    コメントありがとうございます。千秋楽はやはり知り合いが多い日だったのでしょうか。

    >それと、「筆記具お貸しします」どころではなく、パンフレットにボールペンがついてきて、サービスいいなとびっくりしたくらいです。あれ、いただいてはいけなかったボールペンなのでしょうか。

    自分の回は筆記用具は何もついてなかったですが、もしかして持ち帰った客が多くて、千秋楽には貸与するボールペンがなくなってしまったのでしょうか。(笑)。小劇場の場合、パンフレットについているボールペンは、特に言われない限り、プレゼントではなく貸与品と解釈するのが一般的で、自分は持ち帰った経験はないですね。スタッフが何も言わないと持ち帰ってしまう客が中にはいるようで、「返却してください」と言ってる劇団もありますが、たいていの観客は了解しているようで、通常はスタッフも出口で箱を持って回収してます。ボールペンといえど、毎回プレゼントしてたら経費がかさむでしょう?対応策なのか昔ながらのエンピツの劇団もありますが。
    自分は常に筆記具は携帯してますが、たまに落としたり、忘れるときもありますので、付いていると助かりますね。周囲に「きょうは筆記用具付いてないから書かない」と言って帰る人がいましたから残念です。

    2010/08/14 22:03

    私たちの観た回では、お行儀の悪いお客はいなかったように思います。千秋楽は特別だったのかもしれませんね。
    それと、「筆記具お貸しします」どころではなく、パンフレットにボールペンがついてきて、サービスいいなとびっくりしたくらいです。あれ、いただいてはいけなかったボールペンなのでしょうか。

    2010/08/14 02:00

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