フィクショナル香港IBM 公演情報 やみ・あがりシアター「フィクショナル香港IBM」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    『濫吹』効果なのか?熱気ムンムン超満員。超人気劇団になっていた。浴衣姿の平体まひろさんが観劇に来られていたが、違っていたらごめんなさい。

    作家・笠浦静花さんの見ている先がヤバイ。早急に何かしらの賞を捧げないと世間的には不味いだろう。演劇だ小説だ音楽だ映画だジャンルを分けて与太っている場合じゃない。人に何かを伝えようとする行為の話だ。人々は相変わらず金稼ぎにしか価値を見い出せないだろうが、もうそんな悠長な時代でもないんだ。終わりは近い。

    ヒロイン、加藤睦望さんが可愛かった。下着姿までサービス。自分は普通に彼女のファンであることを自覚した。
    彼氏の森田亘氏、ハナコの秋山寛貴っぽくもある能天気な善人。聞かれるとすぐに何でもベラベラ反射的に答えてしまう。思慮深さゼロが良くも悪くもある。

    1988年5月に公開された映画、『フィクショナル香港IBM』、初デートで観に行く二人。下見がてら先に一回観て来た森田亘氏は、冒頭から展開からオチまで加藤睦望さんに事細かく説明してしまう。「凄い面白いですよ。」「何でそれを言うの?」
    能天気な男にキレて何度も別れを告げることに。

    その映画のストーリーは、2088年の未来、仮想空間に再現されたかつての香港が舞台。脳に電極を刺し、それにログインした作家(奥山樹生氏)は管理責任者(小林義典氏)から宣伝用ルポルタージュの執筆を依頼される。その街をぶらついていると、饅頭を配る綺麗な女(梶川七海さん)に一目惚れ。彼女こそ自分の作品の主人公にふさわしいと追い掛ける。

    口をパクパクさせ唾を吐く赤ん坊、さんなぎさんが魅力的。役者の調理法が抜群。
    小林義典氏は八嶋智人や浅越ゴエっぽくて漫画キャラのよう。

    これぞ演劇の恐ろしさ、代替不可能な世界。キャラが次々に入れ替わっていくスピードは押井守や今敏の作風。筒井康隆的躁病患者の疾走。
    上演台本をXで完全ネタバレ公開中!狂っている。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    中盤まで今年最高の作品、ウォン・カーウァイの『楽園の瑕』を観ていた時の気分。とんでもないものを体験している興奮。だが中盤のヤマダ(二宮正晃氏)登場辺りから徐々に沈滞ムード。(スローな喋りネタが退屈でもう少し捻った方が···)。後半の丁寧な作品説明は誠実だが蛇足気味。何か勿体ない。とは言え、もう一度観たい作品で日程を確認したがどうしても無理だった。前半の感覚は完璧、こんな気分を味わえるなんて。天才の仕事に心からリスペクト。まだ観れる人が羨ましい。仮想空間でずっとループし続ける『恋する惑星』を体験させられている気分。

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    2024/05/03 04:43

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