2001年-2010年宇宙の旅 公演情報 東京デスロック「2001年-2010年宇宙の旅」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    地球の時間、10年の感触
    映画のごとく地球の中での人に至る時間が描かれ、
    さらにはタイトルの10年が刻まれていきます。

    夜空の下、拡散することなく
    むしろその場所の広がりとともに
    過去、現在、未来が観る側に膨らんでいく。

    当日ゲストたちの作りだす「今」のテイストも秀逸で。

    ちょっと鶴瀬は遠いけれど、
    足を運んだ甲斐がありました。

    ネタバレBOX

    劇場の建物に囲まれた池に、緑の島があってそこが舞台。
    ちょっとしたボードウォークのような板張りの場所が
    客席になっています。

    歩いて劇場まで来た身には
    風がとても心地よい。
    冷たい飲み物をいただきながら開演を待つその時間に
    すでに眼前に広がるスペースの広さに抱かれている感じ。

    映画のごとく、人類の黎明の歴史が描かれ、
    この星の長大な時間軸が降りてきて、
    メインディッシュとなる10年の座標が定められます。
    様々な事実や人物の言葉や文章がコラージュされ、
    気がつけば、作り手のしたたかな時間の遠近法に
    がっつり取り込まれている。

    過去の重さをグッズまでつかって背負って
    立ち続ける夏目年代記にがっつりとした力があって、
    そこに、観る側にとってなじみの深い世界の流れが
    違和感なく共振するように重なっていく。
    世界の広がりと一人の役者の生きる姿が、
    あたかも遠近法の魔法のごとく
    すっと一つの絵面におさまって・・・。

    しかも世界と個人が、それぞれに埋もれることなく
    互いの質感を強調し合っているのが凄い。
    そこには、劇場の建物たちに囲まれた広い空間に拡散しない、
    むしろその広さを物語のスケールに変えるだけの
    力量があるのです。

    当日のゲスト3人(山縣・大倉・田中)も、「今」の感触を
    構成のシュールさに負けない演技で
    作りあげていました。
    パフォーマンスに時間を絡める力があって・・・。
    投げ銭を集めて水にバラマキ、再び拾い集める感覚、
    ラジオ体操を踊り続ける姿、
    「今」を語ること、今を生きることの
    どこかPopで無機質な感覚も伝わってきて。

    「今」感覚がベースになって、
    未来が動き始める・・。
    登場人物というか役者ひとりずつのたちの姿が
    彼らの架空の年代記とともに遠ざかっていく。
    空の闇にまで届きそうな
    その時間軸の広がりに深く浸潤されて・・・。

    作り手の作劇の手練にがっつりと取り込まれてしまいました。

    ☆☆☆★★◎○●







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    2010/08/08 08:05

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