ロックンロール 公演情報 ホリプロ「ロックンロール」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度

    観客に不親切極まりない演出

    呆れて、ものが言えなかった!

    この作品を観て、まず思ったのは、同じ作者の「コースト・オブ・ユートピア」を演出した蜷川さんは、やはり【腐っても鯛】だなという認識。
    あちらは自分は、全く持って何も知識のないロシア革命時代のお話でしたが、9時間以上、全く厭きる事はなかったし、人間ドラマとして、大変面白く観られました。

    ところが、こちらはどうでしょう?
    1968年の、ソ連のチェコスロバキアに対する軍事介入、私は、リアルタイムで知っています。ニュースで、ソ連の戦車を連日見て、どうしてこんなことになるのか、当時ずいぶん勉強しました。それ以前の「プラハの春」も、本を読んだり、ドキュメンタリーを見たり、それなりにかなり勉強しました。そして、この作品で流れるロックもほとんど聴いて知っています。
    それなのに、この芝居、全く、理解不能でした。(いえ、表面上のストーリーは、もちろん理解できますが、深く、理解でき兼ねるという意味で)
    あんな、何にも知らない、ロシアの芝居は、あんなに面白く観られたのに…。

    原因は、明らかです。こちらの演出家は、上から目線で、その世界事情に詳しくない、日本の観客の立場なんて、全く意に介していないからです。

    こういう、日本人には容易に理解し得ない題材の芝居を上演するなら、もっと、最初に、背景を説明するとか、少しでも、観客の理解を深める努力をすべきではないでしょうか?
    アフタートークならぬ、ビッフォートークの必要すら感じました。
    燐光群の芝居のように、出て来る語句の説明や、簡単な時代背景の説明文とかを配布すべき気がします。この登場人物が架空なのか実在なのか、モデルはいるのかとかの情報も、知りたかったと思います。

    こんなただでさえ、わからない芝居の上に、市村さんの滑舌の悪さと、語尾が聞き取れない台詞の不明瞭さに、益々磨きが掛かり、1幕は、ほとんど意味不明。人間ドラマになりそうな、マックス夫妻のラブシーンも、最悪の演出で、重きが置かれず、ただただ、秋山菜津子さんの存在が救いの、芝居だったように思います。

    もし、これから、ご覧になる方がいらしたら、チラシに書かれている宣伝文から想像する期待感は、(秋山さんの2役に対する期待以外)まず一度忘れて、この登場人物の背景を勉強されることと、1幕はわからなくても、2幕は、大分楽しく観劇できることに期待を繋いで、ご覧になることをオススメします。

    ネタバレBOX

    1幕は、とにかく、市村さんの台詞が半分も聞き取れない。2幕はそうでもなかったから、年齢の差を出すために、1幕は、台詞の言い方を工夫したらしいのが、裏目に出たのではと推察します。

    癌に侵された妻との、男女の複雑な人間模様を、もっと赤裸々に表出する演出をすれば、普遍的な人間ドラマになり得るのに、どうやら、この演出家は、よほどラブシーンの演出が不得手とお見受けします。もう、秋山さんだったから、何とか、実のある女性を演じて下さったけれど、これが、演出家の言いなり女優ならどうなっていたかと、想像するだけで、絶句しそうでした。

    武田さん、前田さん、上山さん、森尾さん、山内さんも、難解な芝居を、懸命に演じていらして、それぞれ好感が持てました。

    2幕は、マックスの妻が死に、その妻役だった秋山さんが、今度は、娘役として、本領発揮の大活躍で好演されるので、舞台の雰囲気が一転。家族劇テイストになり、やっと客席に笑いも出始めてほっとしました。市村さんの台詞も、大方は聞き取れるし…。(笑)

    でも、2幕が面白くなったのは、ひとえに、秋山さんの功績故。父と、娘と、初恋のヤンと、それぞれの人間関係を、秋山さんの好演のお陰で、やっと観客は、自分に引き寄せて、観劇できる体制が整った感じでした。

    この芝居、肝心要のマックスとヤンが、何を考えてどう行動しているのかが、全く謎です。
    あまりにも、意味がわからず、よっぽどパンフレットを買おうかとも思いましたが、こんなつまらない芝居のパンフレットを買う気はせず、家に帰って、「シアターガイド」を読んで、またビックリ!!
    役を掴みかねて質問している武田さんへの演出家の返答振りにまた唖然としました。

    この演出家の舞台を観る度、どうしてこの方が、こんなに大演出家として高名なのか、最大の謎です。


    この芝居、やりようによっては、もっと日本人にも卑近な人間ドラマになる筈なので、もし再演があるのなら、今度は、鈴木裕美さんか、鵜山さんの演出で、観たいものです。

    9

    2010/08/05 03:27

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  • 長寿郎様

    そうですか!それは、責任重大です。(笑)

    でも、もし、長寿郎さんが、大の秋山さんファンでない限りは、やはりこの公演は、チケット代から考えても、やめられた方が懸命ですと申し上げたく思います。

    実は、この制作会社には、主人の御友人がたくさんお勤めでいらして、私も、こう正直な思いを書くのは心苦しい気持ちもあったのですが、家族の中で、私1人、観客側の人間ですので、やはり、お客さんの観劇後の様子が一番気になるところなのです。

    たとえば、先日の蜷川さんの芝居は、私自身はイマイチと感じましたが、半分以上のお客さんは、満足そうにしていらしたので、別に、目くじら立てて、非難する気持ちは湧かないのですが、この舞台は、少なくても、私の観劇日のお客さんは、どなたも充足感を感じさせる表情はなさっていませんでした。
    知人の話ではある新聞評も、私の意見と同種の劇評だったそうですから、やはり、この舞台に関しては、これからチケットを買おうとする方には、やめたらとのアドバイスが妥当な気が致しました。

    どうやら、最近は、年表が配られたりしているようですが、私の行った時は、そんな資料は一切配布されませんでした。
    もし、年表が配られたとしても、向こうではあたりまえに会話されているらしい内容の台詞や人物のことまでは、わかりませんから、なかなか心底理解するのは難儀だと思います。

    長寿郎さんの御参考になったのでしたら、私も、勇気を出して書いた甲斐がありました。こちらこそ、ありがとうございます。

    2010/08/12 01:42

    KAEさん

    貴重な御意見、大変参考になります。
    見ようかと迷っていましたが、やめる決心がつきました。

    きちんと理詰めでマイナス要因を述べていただけるので、本当に迷ったときは助かります。
    ありがとうございました。

    2010/08/12 00:57

    KAEさま

    >きゃるさんは、この演出家だと期待なさるんですね?
    それは、お幸せな…。

    え?ヘンですか?(笑)特に栗山ファンではないです。
    いや、このメンバーと栗山さんのイメージが合ってない気がして、どうなるんだろうという期待感はありましたね(笑)。だから、KAEさんのレビューはとても面白く拝読いたしました。

    私も栗山さんのはそんなに数は観てませんけど、著書やインタビューを読むと、同感する部分はあるし、ヒドイとまで思った経験はないです。
    ただ、山崎正和の「世阿弥」でしたか、演出が栗山さんじゃない幸四郎主演の初演を観た知人が「良かった」と言ってたけど、私はチケットが買えなくて、だいぶたってから栗山さんのものを観たんですが、観客に親切ではなく、友人に聞いていた「初演」の感想とは違い、退屈ですごく眠かったです(笑)。高尚さを狙ってるのか、「上から目線」というのも感じましたし、アフタートークを聞いてもそういう印象でしたね。女子大生が質問のときに「これ、楽しくないです。演出、変えたほうがいいですよ」って言ったんですよ。そしたら「あなたのために演出してるわけではないので、気にしません」って答えられて(笑)。まあ、その女子大生も「能における婆沙羅」の解釈が間違っており、かなり思い込みの激しそうな子で、私の前の席にいた年配者の人が「あの子の解釈は間違ってるよね。大学の先生は教えないのかねぇ」と呆れてましたから、どっちもどっちと思って聞いてたんですが(笑)。新聞評では、新演出が良いという視点で書かれてましたけど、山崎さんの作品はただでさえ、文章も高尚で難解なので、演出をもう少し何とか考えてもらいたかったなーとは思いました。楽しめなかったのは、まぁ、私の理解力が足りなかったのだというふうにも思ってました。

    2010/08/09 05:49

    きゃる様

    きゃるさんは、この演出家だと期待なさるんですね?
    それは、お幸せな…。
    私は、大好きな役者さんが、この方の演出される舞台に御出演の一報に出会う度、どうしたものか、観るべきか、止めるべきかと迷います。(笑)
    でも、やはり役者さん観たさに負け、観に行ってしまって、またがっかりとして帰宅することの繰り返しです。

    でも、今回は、それとなく、期待していたんです。原作が面白いだろうと期待し、役者さんに期待し、このフライヤーの文句を信じて、懐かしい音楽の洪水を浴びられるかと期待し…。

    この演出家の舞台には、いつも最悪を想定して行く、いつもの気持ちが薄れて行ったのが、まずかったと、反省中です。

    向こうでは、普段の会話で、あたりまえに語られるであろう、話題や、人間に、全く造詣が深くないので、何のことやらでした。その上、本当に、主役の2人の関係性が、さっぱり解りかねました。

    私のように、しょっちゅう観劇できる人間なら、こういうハズレ作品があっても、またすぐそのお口直しになるような舞台に出会えて、助かりますが、きっと、この舞台を楽しみに観にいらした方の大半は、たぶん、年に数作の舞台を、楽しみに、劇場に足を運んでいらしたのだと思うのです。
    そういう観客の皆さんが、高揚感や感動を微塵も感じさせない、無表情な雰囲気で、劇場をスゴスゴと、後にされる様子に、演劇愛好家として、本当に、胸が痛み、悲しくなり、興行側の、お客さん不在の作劇の全てに、怒りさえ感じてしまいました。

    2010/08/08 10:30

    KAE様

    これ、豪華メンバーの公演ではありますよね。栗山民也さん演出だから期待していたんですが、ここ読んで意外でした。さすがに手厳しいですね。でも何となく舞台の想像がつく感じです(笑)。

    2010/08/08 07:50

    akisan様

    そう言って頂けると、少しほっとします。
    そうですね。私も、コリッチのお陰で、たくさんの知らなかった素敵な劇団と出会えたり、どうしようか迷っている芝居を、これは、自分には向かなそうと、逆に判断できたり、皆さんのレビューはとても参考にさせて頂き、感謝しています。

    akisanさんが、しのぶさんや私のコメントで、事前情報を知り、少しでも、私達よりも、この舞台を楽しめる度合いが増されたら、こんな嬉しいことはありません。

    もし、お手元に、このチラシがあったら、そこに書かれていることに関しては、あまり期待されずにいらした方が懸命だと思います。ただし、秋山さんの2役に関しては、どんどん、期待されて、大丈夫です。(笑)

    あ、それから、ギリシャ哲学や、ギリシャ神話にも、造詣が深い方が、より理解が深まると思います。

    2010/08/06 23:12

    KAEさん

    ありがとうございます。

    でも、こう言った事前情報や知識が得られるだけでも、
    コリッチでコメント書く意味があると思います。

    また、いろいろ教えてください。

    2010/08/06 10:21

    akisan様

    これから観に行かれる方もいらっしゃるのに、辛辣なことを書きすぎて、申し訳ありません。

    でも、脇役の方は、皆さん、こぞって、好演されていたと思います。

    ただ、主役のお2人は、市村さんは、台詞が不明瞭だし、武田さんは、まだ役を掴みかねている感じで、演技がやや臆病な印象を受けました。
    フライヤーを読む限り、この2人の関係性が一番のポイントらしいのに、どうもその実感が得られず、腑に落ちない印象でしたが、しのぶさんも書いていらっしゃるように、事前に勉強されて行けば、ずいぶん、観劇感も変わるのかもしれません。
    開演前にパンフレットを買って、人物の知識を得ておくと、わかりやすいのかもしれません。

    私は、ロックの音楽がもっとフューチャーされる、「フットルース」的な、カタログミュージカルっぽい雰囲気を想像していましたが、全然違いました。(笑)

    ロックの曲は、暗転中に、2フレーズぐらいがちょこっと流れる程度なので、少なくても、曲を聴いて懐かしさに浸ろうとか期待せず、イギリスとチェコスロバキアを舞台にした、ストレートプレイだということを把握して観劇されたら、ずいぶん、印象は違って来るのではと思います。

    市村さんの台詞が今より明瞭になるかはわかりませんが、市村さん目当てでなければ、視点を変えたら、楽しみどころは、きっとたくさん探せるのでは…。(と、私も、期待したいです)

    とにかく、秋山さんを筆頭に、脇役の方は、皆さん、奮闘されています。それだけは御安心下さい。

    2010/08/05 20:59

    KAEさん

    私は、月船さららさんを観に行こうと思ってチケット買ったんですが
    何か寒気がしてきました。。。(苦笑)

    月末に観に行くまでに、少しはよくなっているだろうか・・・

    2010/08/05 19:28

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