実演鑑賞
満足度★★★★
少々難解な作品。一度観ただけで全部の場面を理解できる人は少ないだろう。
この作家らしく、歴史上の実在人物や出来事から自由にイマジネーションを飛翔させて独自の舞台設定が作り出されている。特に今回は複雑で手の込んだ設定や人物キャラクターだった。そのへんが把握しにくく台詞もほのめかしに満ちていて、話が見えてきそうで見えてこず戸惑わされる。後半では、過去シーンで同じ俳優が同じ格好のまま二役やる上、誰と誰の会話なのかがなかなかわからず、混乱させられる(台本には話者の名前が書いてあるのでわかるのだが)。観る側に前知識(ゾルゲとか尾崎秀実とかコミンテルンとか)とかなりの注意力が求められる作品なのではないか。
一度観て、台本を買って読んで細かいところを確認してからもう一度観たら、なるほどと思わされる複雑で技巧的な作劇や俳優陣の細かい演技などを楽しめた(そういう余裕ができた)。ただ、二度観る人は少ないだろう。