みんな出ておいで~ 公演情報 株式会社AGE POP「みんな出ておいで~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    安土桃山時代か、長島一向一揆を 宗教という信心を利用した人心掌握術ー現代的に言えばマインドコントロールを描いた物語。宗教の捉え方、人の思惑といった多面性を多方面(360度)から観せる。そう言えば、この劇場の近くに青山円形劇場があったことを思い出した。

    公演の見所は、人の(信)心、宗教による救い=浄土への導きを利用した深謀遠慮、信仰心があつければ それだけ思考 視野が狭くなるという怖さ。それを戦(いくさ)に絡めて浮き彫りにする。もう一つが四方の客席から観せるというもの。役者は四方八方の視線を意識した演技、それが舞台上は勿論その周りを回る、その動作こそが一つの見方に捉われないことを示唆しているよう。
    (上演時間1時間45分 途中休憩なし) 

    ネタバレBOX

    中央に高くした素舞台、客席は四方に配置。役者は一部の客席通路を通り出入りする。上演前は波(水)音が聞こえ、心安らぐ雰囲気が漂う。念仏を唱えながら人物が動き回り、その地方・地域に宗教の教えが広まっていることを表すようだ。

    念仏が上手く唱えられれば 信心深いと見做される。或る日、念仏が下手な浪人がこの長島の地へ、間もなくして織田信長の侵攻が始まる。その攻防によって多くの住民 信徒が犠牲になるが、その死は「おめでたい」ことだと言う。死=浄土へ行くことが出来る、その教えを信じて疑わない。

    <宗教>という絶対性、一方、好きになった女性信徒(大事な人)を救いたい。戦(いくさ)の中で、当たり前のように 親は子を守る、その<生命>への執着を熱く語る。本来、この宗教と生命という二項対立しないようなこと、それが "どうして” と考えさせる奥深さ。

    ラスト、なっちゃん、おみな 二人を照らすスポットライトが物悲しくも美しい。戦国の世という、謂わば不条理な世界が浮き彫りになる力作。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2024/03/10 13:27

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