反重力エンピツ(再演) 公演情報 国道五十八号戦線「反重力エンピツ(再演) 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    肌合いが変わって
    戯曲を演出が自らの感覚で読み解いて。初演とは異なるテイストで作品が新たな力を得ていました。

    再演が単なる繰り返しにならずに、戯曲の別の奥行きをしっかりと観る側に伝えていて、初演を観た方にも、戯曲のことなった肌合いを感じることができる、お勧めの公演でありました。

    ネタバレBOX

    初演時には、観る側の感性にいどむような部分があって、
    密度を持った強いテンションが舞台を支配していた記憶があります。

    今回の公演は、演出が
    いたずらに初演を踏襲することをせずに
    自らの感性にしたがって舞台のトーンを作り上げることで
    戯曲のもつ別の奥行きを観客に表した印象。

    初演時の時間を磨き上げるようなデフォルメがほどけて、
    ひりひり感をもった舞台の空気にかわって
    馴染むような肌合いがやってきます。
    作品のテーマとなる感覚が
    初演時のように戦闘服を着て観る側に挑んでくるのではなく
    普段着で語りかけてくる・・・。

    まだ初演から1年もたっていない、
    それもがっつりインパクトを持った作品だったので
    前回の記憶もしっかり残っていて。
    でも、そこには初演・再演の優劣ということではなく、
    戯曲の持つ懐の深さこそが感じられて。

    もちろん、作品としても秀逸なのですが
    それに加えて作品の再演の意義というものを
    考えさせてさせてくれる公演となりました

    役者の方たちも
    稽古中に演目が変更になるなど、
    大変だったと思うのですが
    そんな風情はおくびにも出さず
    キャラクターのニュアンスを
    舞台のトーンに合わせて
    したたかに作り上げていました。
    ナチュラルなのですが
    キャラクターの芯がぶれない・・・。
    繊細な陰影を観客に伝えるだけの
    安定が個々の役者にあって、
    派手さはないのですが、
    ボディブローのように
    シーンごとのお芝居が観る側を閉じ込める
    質感にかわっていく。

    公演期間の前半での観劇でしたが
    今が悪いということでなく、
    膨らんで変容していく余白を感じる部分もいくつかあって、
    後半に
    このお芝居がさらにどう育っていくのか
    見届けることができなそうなのが
    残念でなりません。

    2

    2010/07/28 07:24

    0

    0

  • KAE様

    コメントありがとうございます。

    優劣を感じずに、
    異なったテイストを持つ演出がそれぞれに生きるというのは、
    個々の演出の手腕に加えて
    やっぱり戯曲が秀逸なのだと思います。

    作者というか主宰の方には、
    時に囚われず
    ゆっくりと養生いただき、
    いろんなものが満ちたら、
    戯曲を編み、再演を含めて演出をし、
    作品を作り上げていただきたいですね。

    2010/07/29 10:23

    りいちろ様

    初演は観ていないのですが、何となく、大分今回の雰囲気とは違うのではと予想して観ていました。
    りいちろさんの初演と対比しての御感想、大変興味深く、拝読させて頂きました。やはり、私の予想通りだったようですね。

    また、いつか、劇作家の方がお元気になられたら、再々演されるといいのですが…。
    どちらのバージョンも観てみたい気持ちになりました。

    2010/07/28 23:36

このページのQRコードです。

拡大