「5seconds」「Nf3Nf6」 公演情報 ウォーキング・スタッフ「「5seconds」「Nf3Nf6」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/02/29 (木) 19:00

    座席1階

    日航機の逆噴射墜落事件をテーマにした短編。片桐機長と刑事弁護をする若い女性弁護士による2人芝居で、弁護士が裁判に備えて機長から聞き取りを行う場面を中心に構成されている。

    パラドックス定数らしいテーマだ。機長は精神鑑定などのため警察病院の分院に入院させられているが、まずは機長にはめられた手錠を弁護士が人権侵害だと怒る場面から始まる。だが、機長はそんなことに関心はない。日航が超一流企業であること、自分はそこで機長を務めて世界を飛び回ってきたことなどをとうとうと語る。話はかみ合わないが、自分は選ばれた存在であるという強烈な自尊心があふれる。だから、心神耗弱で減刑を狙う弁護士に食ってかかる。「私は機長であり、乗客や乗組員の安全に全責任を持っている」。一方で、着陸寸前に逆噴射レバーを引いたことを堂々と認める。結果の重大性を感じている様子はなく、むしろ自分の操縦を副操縦士がじゃまをしたという自身のプライドばかりを強調する。

    統合失調症によるものなのかどうかは、この芝居だけでは分からない。だが、野木萌葱が描こうとしたのは機長の深層心理だろう。どこまで深く迫れるかどうかがカギとなるが、見終わった時に思ったのは、機長が持つ独特の自尊心ワールドだった、という結論である。
    エンタテイメントとしてはとてもおもしろい。だが、野木さんならどう描くのか、という事前の期待が大きすぎて今ひとつ肩透かし感もある。
    ディレクターズチョイスの2本立てであり、もう1本を見ないと、と思うのだが残念なことに今日が千秋楽だ。もう一本にもおそらく、過度の期待を持って劇場に足を運んだであろう。見られなくてとても残念だ。

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    2024/03/01 10:56

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