反重力エンピツ(再演) 公演情報 国道五十八号戦線「反重力エンピツ(再演) 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    「現実逃避のための革命ごっこ」
    冒頭の風景が面白い。物語は作家が描くモデルの女を主人公にした小説。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    キャンパスに絵を描くみたいにモデルを眼の前に立てて書く作家。しかし、作家が手にする鉛筆は絵を描くことはない。あくまでもモデルを座らせ彼女を見つめながら妄想を膨らませて小説を描くという絵図。この出だしはナンセンスだけれど愉快で楽しい。

    物語は作家がこうして描く小説の中身を描いたものだ。その世界観は「革命」。60年代に疫病のように流行った「学生運動」の様子をハマカワの部屋で「特別召集議会」なる、そのつもりを9人のキャラクターが演じる。登場する言葉は「革命」にお決まりの、誠実で豊かな実りある社会を構築するべく命を投げ出しても意思統一を計り自己批判もしながら、手段と目的が入れ替わらないように連帯責任で遂行すること。

    なんつってどこまでが本質でどこまでが本質でないのか曖昧ながら、いざ、爆弾を仕掛ける話になると逃げ腰になる彼等。笑)   それでも議会に定番の「意義アリ」「意義ナシ」を連呼させ、やっぱり、そのつもりだ。笑) しかし、その心は現実逃避だ。

    そんなぬるい内ゲバ的な集団の中にはやはりお決まりの、裏切り者や飛びすぎて行き過ぎてしまう輩が出てくる。そんな飛びすぎた一人、ハマカワは非現実な行動に走り出し、弱体化した国家権力に対抗するためプラスチック爆弾を仕掛けてしまう。「消滅することで存在意義を主張する」という。そんな突飛な行動に驚くリーダー。そんなつもりはなかったからだ。しかし爆弾は仕掛けられた後だった。

    こんな小説を描き終えた作家は「この世で一番重いものは何だと思う?」とモデルに問い、おちゃらけて「反重力エンピツ」を手のひらで遊ばせていたが、真実は「期待」という最も重いものだった。そう、期待も掛けられすぎると重いが、全く期待されなくなっても、それは悲しい。。


    キャラクターの個々のカラーが抜群。特に藤尾姦太郎の演技が絶妙。細かな表情で心理状態を読み込み、魅せた。相変わらず秀逸だったが、2年くらい前からこういった「革命」ものは舞台でも流行りだ。だからネタとしては古いかもしれない。やはり今年ではなく去年観ていたら斬新だったかもしれない。


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    2010/07/26 13:51

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