スプーンフェイス・スタインバーグ 公演情報 KAAT神奈川芸術劇場「スプーンフェイス・スタインバーグ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/02/28 (水) 13:30

    座席1階

    自閉症スペクトラムで、がんに罹患した少女による独白ふうの物語。時には冷静に、時には情感たっぷりに自分を見つめ、両親や主治医、お手伝いさんなどとの人間関係を語っていく。安藤玉恵と片桐はいりのダブルキャストによる一人芝居。俳優としての実力や存在感が問われる厳しい舞台だと思うが、自分が見た安藤玉恵バージョンは見事のひと言だった(おそらく片桐はいりは安藤玉恵とは全く違う雰囲気でスプーンフェイスを演じたであろう)

    舞台と地続きになっている客席前方のスペースにも、いくつものクッションいすを配置。冒頭や舞台の途中でも安藤が客席の中に入ってきたり、お客の顔を見つめながらしゃべるなど、役者と客席の距離が極めて近い構成。客席に語りかける一人芝居の効果を遺憾なく発揮した。
    演出もよかった。高い天井から下がる薄いカーテンを効果的に使い、時には映写幕として、時には少女がジャンプしてつかもうとする場面を演出したり。ビデオカメラを使った自撮りでの独白とか、単調になりがちな一人芝居の舞台に常に変化を付け続けた。

    物語は、丸い顔だということで「スプーンフェイス」という名前がついた少女の誕生の語りからスタートする。知的障害に自閉症という自分のことを語るのだが、そのトークは明るいというわけではないが悲観的でも暗くもない。少女が自分の置かれた状況を前向きに、ありのままにとらえているのがとても好感が持てる。
    主治医の家族のエピソードも胸を打つ。障害児を持つ母親の苦悩を客観的な視点で語る場面は客席をくぎ付けにした。ストーリーテラーとしての実力のたまものだと思う。

    このような客席と一体化したような一人舞台をこなせる俳優はそれほど多くはないだろう。一見の価値があると言っていい。

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    2024/02/28 17:34

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