朝までは 公演情報 ボールベアリングドラゴンズ「朝までは」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    究極の脱力系
    ユルユル、ダラダラの不思議な魅力に惹かれてずっと観続けてきたプロデュース・ユニット。ひとつの節目となる10回目公演はいままで一番の脱力度で、慣れている私でさえギョッとした。今回初めて観た人は「何、これ?」と誤解してしまうんじゃないかと心配になった。
    ボールベアリングドラゴンズの場合、観客はほとんどが東大駒場の観客だと思う(私の前方にすわった知人いわく、「知らない顔の人が来てない(笑)」。終演後は久々の同窓会状態で盛り上がっていたようだ)。最近でこそHPの体裁も整ってきたけれど、以前は期間限定ブログしかなかったし、これといった宣伝もしない。「このお話は、明かりがついたら始まって、消えたら終わりです。終わったなと思ったら、拍手の用意をよろしくお願いします。」というシンプルすぎる挨拶文もいつも同じ。
    演劇をやる以上「観てほしい」という気持ちはあるようだが、「意欲」というものを感じさせない。田岡美和、本当に不思議な人だ。

    ネタバレBOX

    フライヤーやポスターにある美しいスイーツの写真。女性4人が集まって、スイーツ食べながらの恋バナの芝居かな、と想像してしまう。しかし、お話の中心に出てくるのは、スイーツじゃなくて飾りに置かれている「色紙で作った鎖」のほうだ。
    ヨシノが黙々と色紙で鎖を作っている。そこにシバという黒いスポーツジャージ姿の女がやって来て、鎖を作り始める。2人でだらだらしゃべりながら作っていると、部屋の隅でダウンコートにくるまって寝ていたオオヤマが目を覚ます。オオヤマも赤のジャージ。会話の中で、蛇山、牛山、犬山、熊山といろんな動物になぞらえられて呼ばれる。そこへ喪服のジョンコが帰って来て、これまたグレーのジャージに着替える。ごく普通の女の子らしい服装はヨシノだけ。「ウメは岡山のマリーズに行くらしいよ」「あそこ丼飯1日3杯がノルマだって」「あ、3杯は無理だわ」 。どうやら4人は何かの球技チーム「チームストイック」にいて、メンバーの1人が亡くなって、ジョンコが告別式に行ってきたらしい。で、チームは解散の危機にあり、ウメというメンバーだけが岡山の強豪チームに移籍が決まったらしい。2人はジョンコに命じられて鎖を作っていたようだ。シバがお金を立て替えて工作用糊を買ってきてそれとなくレシートをテーブルの上に置いたのだが、ジョンコは見もしないでゴミ箱にポイ。「オオヤマのために作った塩やきそばがある」と言って出してきたのは、塩をかけただけの具のないやきそばで、ヨシノとシバは食欲をなくす。で、その鎖は「湿っぽくならないようにライトにいこう」というジョンコの発案で作ったもので、追悼式をやるようだ。4人は鎖を首にかけ、「YMCA」を歌おうとするが、「C」の字が作れず、動きもバラバラ。途中から振りはラジオ体操になっているし、歌詞をよく知らないので、同じところしか歌えないのだ。「YMCA」を終えた4人はまた、とりとめのない会話を続け、何も起こらないまま、芝居は終わる。
    田岡の芝居は、ゆったり、のろのろと時間が流れ、会話が進むにつれて少しずつ事情がのみこめていく不条理劇ふうの作品が多いが、今回ほどユルユルの内容も珍しい。女子4人もいて、およそ華やぎを感じさせず、ノーメークでジャ-ジのふだん着で「女捨てちゃった」雰囲気。最近TVで綾瀬はるかが演じてヒットした「干物女」みたいな格好で無気力な会話を延々と続けるのだ。芝居から人生の機微を感じ取りたいと思っていたり、本格的なお芝居を期待する向きには、腹立たしくあきれかえる内容かもしれない。長く見続けている者にとってはあまり驚くこともなく受け入れられ、現にクスクス笑いがあちこちで起こっていた。10回目という節目にあえて演劇らしさを排したこういう全く力まない芝居を作ったのも田岡の確信犯的発想なのだろうか。
    ともあれ今回のような芝居は彼女の作風をよく知る「駒場の観客」を対象にしてこそ成り立つかもしれないが、外向きにはいかがなものかという戸惑いはあった(笑)。田岡自身の考えは知らないが、ボールベアリングドラゴンズはいつまでも仲間内の同じ観客の前で公演してないで、そろそろもっと多くの人に観て貰い、鍛えられたほうがよいのではないか。11回目の公演はおそらくまったく違うものを出してくるとは思っている。
    登場人物は名前がついているのに、配役表にはおそらく登場順だと思うが女1,2,3,4とだけある。これなども仲間うち感覚で、外部の客を意識していない配役表記だ。一考されたし。

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    2010/07/26 03:33

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