誰ガタメニ金ハ成・・・ル? 公演情報 劇団あかぺら倶楽部「誰ガタメニ金ハ成・・・ル?」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    笑いのDNA
    初見の劇団ですが、レイ・クーニーの息子、マイケル・クーニーの作品ということで、フライヤーに書いてあったあらすじを読んだら面白そうだったので観にいきました。親から子へ、笑いのDNAをしっかり受け継いでいるのが素晴らしい。
    上演した劇団あかぺら倶楽部は創立20周年ということで、アフタートークを聞いていると、長年劇団員たちで笑いを練り上げてきたというアンサンブルの強みを感じた。アフタートークも今回初めて実施したそうで、私が観た回は翻訳の小田島恒志さん(こちらも親子で翻訳者)がゲストではなくて残念だったけれど、また企画してほしいと思う。
    場内は平日昼にもかかわらず、サポーターが詰め掛けて満席御礼となっており、人気の根強さが伺われる。中にCoRichに情報が載っていたから来た、と話していた人もいたので嬉しかったですね。
    公演直前、劇団員の父とも言うべき座付き演出家の水鳥鐡夫氏が亡くなられたそうで、ロビーに遺影と花が飾られ、記帳や寄せ書きコーナーが設けられ、皆さん熱心に書き込んでおられた。劇団の「笑いのDNA」も受け継がれていくことだろう。

    ネタバレBOX

    電力局のリストラで失業してしまったことをエリック(高木渉)は妻のリンダ(岡田佐知恵)に内緒にしている。また、社会保障省にいろんな手当ての申請をしたら、本来無関係なものまで次々申請が通ってお金が振り込まれ、結果的に多額の金を詐取していることも妻には内緒。ある日、社会保障省の調査員ジェンキンズ(中村伸一)が裏づけ調査にやって来る。新たな関係書類には家主のサインがいるとジェンキンズが言ったことから、エリックは何とかごまかして追い返そうとし、間借り人のノーマン(大西健晴)に協力を仰ぎ、叔父のジョージ(山口登)を巻き込んでいろんな架空人物をデッチ上げて演じる羽目に。エリックは社会保障省から支給された健康器具や妊婦服、カツラ、授乳用ブラジャーなどを病院の清掃員をしているジョージに渡し、ジョージが転売していた(手厚すぎる福祉も考え物ですな 笑)。この女性用品を室内で見つけた妻は夫に女装趣味があると誤解して医師チャップマン(押田浩幸)に相談していた。社会福祉事務所からやって来たサリー(綾倉朋子)がノーマンの父が死んだという嘘を信じ、葬儀会社の社員フォーブライト(池上高史)を呼び、たまたま気絶して寝ていたジョージを死人と勘違い。エリックが伝染病で亡くなったと口から出任せを言ったため、規則で司法解剖をしなくてはとフォーブライトとサリーはジョージを担架で運び出そうとする。部下の調査の遅さに業を煮やした凄腕上司クーパー(今泉文乃)やノーマンと明日結婚式を挙げる予定の婚約者ブレンダ(上之薗菜緒子)がやってきたことから事態は大混乱に陥る。進退窮まったエリックはすべてを話し、刑務所行きを覚悟するが、クーパーは彼こそ「詐取の手口を見抜く調査員に最適」とエリックの雇用を決め、ハッピーエンドに。
    3つのドア、2階、屋根と複数の場所に人々が移動するドタバタコメディー。
    舞台美術が本格的で、位置によっては観客からはまったく見えないドアの中のチェストがきちんと配置され、終盤に登場する壊れて勝手に動き出す洗濯機までよくできている。
    フライヤーのイラストが、話の全容を表現しているのにも感心した。
    きっちり作りこんだ笑いで、俳優が役を忘れて独りよがりのウケ狙いの芝居に走ったりしない品の良さに好感が持てた(小劇場系シチュコメ専門劇団の中には品のない笑いで芝居全体を安っぽくしてしまうところをときどき見かけるので)。何度も再演している十八番の演目をいくつも持っているようなので、今後も観ていきたい劇団だと思う。

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    2010/07/25 07:22

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