実演鑑賞
満足度★
繰り返し演じられてきた作品をあえて上演しようとする時、何かしら新しいことをしなくてはと思うのは、演出家なら当然だと思う。
けれど、「新しいことをする」こと自体が目的化している作品は、観客の心に何も残さない。
『リチャード三世』の世界観をこう味あわせたい、という心意気はわかる。方向性も明確だ。斬新さも醸し出しているし、スタイリッシュでありながら、観る者の感性に意図的な「不快さ」を届けることには成功している。
だが、造り手の心が感じられないために、主軸がまったく見えてこない。
東京芸術劇場の大きな主宰公演であることで、多くの人達の期待を集めていたであろうに、個人的には失望させられた公演だった。