夜は昼の母 公演情報 風姿花伝プロデュース「夜は昼の母」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    すげえ。3時間10分(「観たい」に書いた3時間40分は誤り)を終えた時の実感。ラーシュ・ノレーン作品でしか味わえない「人間」への深入り、これに迫った俳優(岡本健一が突出)には満腔の労いの拍手を送らねばならぬ。
    「パサデナ」「終夜」は一夜(深夜)の劇であったが、今作も昼間を通過するとは言え陽光の遮蔽された家内での1日かそこらの劇。登場人物は父母と二人の兄弟(16歳の弟と何歳か上の兄)。正直な話、脚本としては難があると言える。作者が人物に光を当てる角度を後半付け加えている印象で、「説明」のためには必要だったのかも知れないが、劇的な時間の進行としてはギクシャク感がある。人物像の顕現を「謎解き」としたミステリーと見ると、次第に照準されてきた人物が、ふいに脇へズレる。作者は全てに照準を合せたかったのだろう。
    だがこの家族のシチュエーションを克明に描く試みは果敢であり、人間の人格が家族との相互に影響し合って形成される側面と、生来の素質に拠る側面の区別し難しさ、責任の取りづらさ、即ち解決のし難さを浮き彫りにする。特異な人格として岡本演じるダヴィド、山崎演じる酒乱の父マッティン、那須演じる母性と女性性と冷淡さが変幻する母エーリン、堅山隼太演じる自立を模索する兄イェオリ。各々の人物の内的な一貫性が、身体感覚を通った台詞を通して体現されている(達成度はそれぞれだが)一方、家族が積み上げてきた時間の分だけ有機体として「見える」かと言えば、まだまだ、という所だろうか。(しかし家族を舞台とするノレーン作品の最大のネックであり演出・俳優にとっては超難題と言えるのではないか。だが作品はそこを要求している。)
    公演終盤にどう見えているか、観てみたいが・・チケットは完売。
    詳細後日。

    0

    2024/02/11 08:55

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大