逢いにいくの、雨だけど 公演情報 スーウェイ「逢いにいくの、雨だけど」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/02/01 (木) 14:00

    座席1階

    iakuの横山作品ということでチケットを確保。期待して下北沢へ向かったが、果たして見事な作品だった。iaku以外でこの作品を上演するのは初めてとか。役者たちはそうしたプレッシャーがあったかもしれないが、心理描写が演技ににじみ出るような役者にとっては難易度の高い作品を見事に演じた。

    冒頭、主役の君子が絵本の新人賞に選ばれたという電話を受けるところから始まる。焼き肉屋でバイトをしながら書き続けた苦労人が絵本作家となり、仕事の注文も舞い込んでうれしいはずなのに、なぜか君子は浮かない顔をしている。なぜそうなのかは次第に明かされることになるが、それはずっと君子の心の底に引っ掛かっていた幼なじみとの事件だった。
    君子の表情がこの舞台を引っ張っていく力になるのだが、自分が見たAチームの君子役はやしききの表情は見事だった。眉間に寄せるしわが、主人公の心の奥深いところにある苦しさ、悲しさを実にうまく表現している。役者との距離が極めて近い下北沢小劇場B1だけに、それが手に取るように分かる。
    もう一つ、相手役となる幼なじみの潤(じゅん)を演じた武谷公雄の素朴な演技も役柄を上手に捉えていた。この素朴さからにじみ出てくる優しさが客席の視線をくぎ付けにする。ラストシーンははすすり泣きも各所で聞こえるほどの名場面だった。

    それもこれも横山作品の卓越した物語性のなせる技なのだが、まずは役者たちの奮闘をたたえたい。演出もシンプルでよかった。親と子、二つの時代を前後にクロスオーバーさせながら見せたのはよかった。比較的長いと思われる2時間だが、時間を無駄にしない演出は客席を物語の中にうまく引き込んでいった。小劇場ならではの演出だったと思う。

    iakuの東京進出以来、横山作品にしばしば触れてきたが、この戯曲はすばらしい。キャラクター設定や、登場人物同士の微妙な関係など、心の機微に触れる名作だと思う。もう少し大きな劇場で、違う演出でも見てみたい作品だ。
    見ないと、損するかも。

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    2024/02/01 21:08

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