「秘密をふやす」 公演情報 セキララ「「秘密をふやす」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    くっつけ感と剥ぎ取り感、それぞれに・・・
    常日頃みるお芝居とは
    違った感覚を刺激されて・・・。

    こういう表現だからこそ、
    伝わってくるものがありました。

    というか、この表現、
    癖になる・・・。

    ネタバレBOX

    当日パンフレットに
    舞台兼客席の見取り図があって、
    それぞれの場所の概念が示されています。

    開演前、その世界を引き寄せるように
    部屋までパンの切れはしをならべる「私」
    まるで鳥のようにそのパンを拾いながら、
    やがて私の部屋にまで妻が引き寄せられるところから
    物語が始まります。

    物語の主語を見つけるまでに
    ちょっと時間がかかったものの、
    寝台特急の車掌がよっぱらって行くあたりから、
    現実と想いがねじれていく感覚があって・・。
    そこから舞台上に表現される世界の
    コアに入り込んでしまう。

    車掌の抑制が失われた寝台列車が
    揺らぎながら私の世界に取り込まれていく、
    その感覚に、違和感が痺れ浸り込んでしまうのです。

    色濃い役者たちの表現に加えて
    「私」というロールにくっつけられていく想いに
    不思議な実存感があって・・・。
    ホチキスで衣裳に秘密のものが止められていくたびに
    夫婦とか愛人とかの
    形骸化したステレオタイプな概念に
    血が注ぎ込まれて行く感じ。


    さらには、その服に少しずつ鋏がはいり
    やがて切り裂かれていく感触にも
    鳥肌が立つ・・・。

    その残滓をキャラクター達と見つめるなか、
    復帰した車掌のアナウンスとともに
    寝台列車は正常な運行にもどって・・・。
    その醒め方にも、実存感があるのです。

    道ならぬ恋をするときの感覚って
    こんなものかもしれないと思う。

    役者の表現も強く繊細に、
    その世界に溶け込んで・・・。
    ダンスの振付もビシっと美しく、
    表現のセンスの多様さに舌を巻く。

    ラテンの高揚、虚実の行き先、
    モラルの溶けだし方・・・。
    心の絡まり方や突き刺さり方、その形状。
    観終わって、「私」の部屋を見せていただいて
    (展示として終演後公開)
    想いに対する、表現力の豊かさに
    改めて瞠目。

    作品のテイストに、間違いなく癖になる要素がいっぱりあって。
    アンケートは出し忘れてしまったけれど、
    この作り手たちの作品、もっと見たいと感じました。

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    2010/07/19 11:59

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