緻密な
照明変化は転換時のみ。曲の使用はラストのみ。男七人役者で見せる硬派なストレートプレイ。史上の事件を絡ませて作る物語が興味深い。観る人は選ぶが、確かに観客の心にズシリと重い碇を残していく一時間半。
青山円形はでかい、というのは確かにあるかもしれない。演劇の良さとして、「逃げられない」というのがある。目の前で生身の人間が汗や唾を飛ばしながら演じている。観客席は所狭しと敷き詰められている。途中で逃げさせる隙間を持たない。映画ならまだ席を立ちやすい。しかし演劇は違う。どれだけ作品で恐怖や悪夢を観たとしても、劇場というのは実に逃げにくい機構をしているである。
この作品には、「逃げたい」と思わせる力がある。目を閉じ、耳を塞ぎたくなる。ただしそうさせてはいけない。真実は突き付けなくては、生温い日常に遊ぶ観客たちに直視させなくては。そういう意味で、もっと小空間だったら、集中力もより高まり、さらに観客の心を凍り付かせられただろうと思う。