蜘蛛巣城 公演情報 KAAT神奈川芸術劇場「蜘蛛巣城」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2023/02/25 (土) 14:00

    マクベス。私にとってのマクベスといえば「メタルマクベス」なので、頭の中であの人はこの人で...と変換しながら観ていた。
    百姓から腕一本でのし上がった鷲津武時。夫を愛しすぎるが故に「こんなものではない」と出世を望む妻。この夫婦が特別野心家だったわけじゃない、たまたま、選ばれてしまっただけ。鷲津は妻を心から愛し、優しく、そして弱かった。

    マクベス夫妻の「相手がどんなに惨めになろうとも、たとえ壊れてしまっても、絶対に見捨てることは無い」という最期まで添い遂げようとする様が美しく悲しく大好き。

    ネタバレBOX

    春に予言を受け、夏をすぎ、秋に子を失い妻は壊れ、冬に命を止める。最期まで武時は妻を守ろうとする。死に様は壮絶なようであっけなく静か。
    泥水を啜って這いつくばって生きていた百姓時代。その生活から抜け出すために必死の思いで侍になって、主を殺し友を殺してまで城主になったのに、名も無き百姓が生き生きとして侍が苦しみ命を散らす...なんて皮肉なんだろう。
    「空が綺麗だ」と呟いた笑顔が、憑き物が落ちたような顔で、一の砦の主だった頃みたいな、あの頃に戻って静かにこと切れる。壊れてしまった奥方にはなにもわからない。ただ、雲雀を求めて空を見渡す。
    美しく、悲しい最期。

    銀粉蝶さんが、さすがすぎる。人では無いモノ。あの世界を「マクベス」にしてるのは間違いなく銀粉蝶さん。意味は分からないけどゾッとさせられるのは、その言の葉に確かに意味がのせられているから。ただ発しているのではなく、銀粉蝶さんの中に正解があるから。

    殺陣のSE、小さく聞こえたような気もしたし、無かったような気もする...大きく音が出てはいなかったと思う。
    太一さんの太刀筋は重たくて、人を斬ってる感じがして、良いなぁ。義妹と甥を斬った部下を鯰切りにする時の襟首からグリグリ突き刺していくヤツ、最高。太一さんが刀を振ると血の匂いがする。

    代表作、て言われるような作品になればいいなぁ。

    場転の時に舞台奥と上下の森が照らされているの「森が見ている」感じあって不気味だった。綺麗なのに、不気味。

    武人の荒々しさを表現するためかガラガラした低めの発声で、すこし台詞が聴き取りにくい。太一さんだけじゃなく他のキャストも。もしかしたら集音マイクの設定?マクベスの筋は知ってるから台詞が聞き取れなくても展開はわかるけど、はっきり聞き取れた方がストレスは無い。

    誰よりも舞が上手いのに舞えない設定の太一さん。雑炊が美味かった、初めて白い米を食べたと嬉しそうに語る武時に米好き太一さんがどうしても重なる(笑)

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    2024/01/02 17:24

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