ガラスの動物園 公演情報 劇団銅鑼「ガラスの動物園」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    久しぶりの「ガラスの動物園」(作:テネシー・ウィリアムズ、訳:小田島雄志)、試演会とは思えない充実ぶり。演技は迫真の表現、照明・音響といった舞台技術は効果的で物語をしっかり支えている。

    登場人物はウィングフィールド一家の3人と後半に現れる青年の4人。物語は一家の息子トムの回想として語られる。1930年代のアメリカ セントルイス、一家が住むアパートの一室が舞台。公演は、四方囲み舞台で 観る位置(場所)によって印象が異なるかも知れない。ペーパー仕様のテーブルや引出しは勿論、蓄音機や電話をピアノ(or硬鋼?)線で吊るした舞台装置。四隅が出ハケ口になっており、寝室、キッチン、玄関ドアといった別空間に繋がる。舞台と客席の間を路地として見立て、室内という閉塞とは違った広がりを感じさせる。

    試演会(新人公演)であるから、観どころは 役者の演技であろうが、各者各様 その役柄を立ち上げていた。勿論 個々人の立ち位置と性格が中心であるが、全体として観ると1930年代のアメリカの状況が垣間見えてくる。すなわち1929年のウォール街大暴落 世界恐慌を受けての不況、その閉塞・貧困に喘いでいる。その様子が家族の暮らしに色濃く反映されているような描き方。

    さて、個々人を観てみると、次のような性格等が浮き上がる。それぞれの人生観を丁寧に現わし(演じ)ており、滑舌も良い。
    ●母アマンダは大橋由華さん。過去の栄光に縛られ、現状に不満を抱いている。子供たちを自分の意に添うよう口うるさく説教する。
    ●娘 ローラは井上公美子さん。足が不自由でインフェリオリティーコンプレックスを抱き、内向的で引籠り。ガラス細工の動物コレクションを大事にしている。
    ●語り手で息子トムの中山裕斗さん。靴会社の倉庫で働いており、毎夜映画を観に出かける。惨めな人生から抜け出したいと足掻く若者。詩作が趣味。
    ●ジム・オコナーに伊藤大輝さん。トムの職場の同僚。トムが自宅へ夕食に招く。ローラがハイスクール時代に淡い恋心を抱いていた。既に婚約者がいる。

    卑小だが、気になったのは場転換(薄暗)時のこと。
    (上演時間2時間25分 途中休憩10分含む) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は、銅鑼アトリエの奥にテーブル・椅子、入口近くに玄関、そして鏡、電話、蓄音機が吊るされている。天井には裸電球やガラス細工。テーブルの上にはバスケットや紙皿等があり丁寧な作り。アトリエ内(壁)は暗幕で囲い、床は黒っぽく 全体的に薄暗く電球が橙色に灯るだけ。これが休憩後には配色を変化させ…。

    先に気になることを記すが、場転換時、さらに薄暗くなるが それでも歩く姿は分かる。そんな中で、すぐ足が不自由なローラが普通に歩いて移動 いや機敏のよう。劇中ではないが、物語が始まると また跛行のような歩き方という違和感。場転換も含め公演全体の統一というか自然感がほしいところ。
    以降 追記予定

    0

    2023/12/17 05:35

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大