ジャズ大名【愛知公演中止】 公演情報 KAAT神奈川芸術劇場「ジャズ大名【愛知公演中止】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    岡本喜八の大ファンだった筒井康隆、自作の小説『ジャズ大名』を監督が映画化することが決まった時は喜んだもの。二人共ジャズとスラップスティックをこよなく愛した。昔、原作の短編を読んで、「これをどう映画化するのか?」不思議に思った。観てみると成程、フリー・ジャズのジャム・セッションが延々と続き、ジャズの狂騒的なリフ、リズム、ビートの熱に浮かされた人々の精神の高揚が描かれる。ずっと繰り返されるリフの作曲も筒井康隆。盟友山下洋輔が協力した筈。話なんかあってないようなもの、ジャズの狂熱で憂鬱なもの全て吹っ飛ばしちまえ。取り憑かれた様にリフが身体中を這いずり回り訴えかける。何だか判らないけれど、どうもこいつに夢中だ。

    舞台化にあたり、主演の千葉雄大氏がまさに適役。すっとぼけた可愛らしさ、ずっと見ていられる。
    藤井隆氏なんかキャスティングしとけば何とかしてくれる。
    ある意味主役の富田望生(みう)さんはとんでもないパワー。ここまでの存在に成り上がった。
    ふざけた家臣は大鶴佐助氏。ニヤニヤニヤニヤ好き放題。
    トランペッターの辰巳光英氏は若き筒井康隆に見えた。
    「ええじゃないか」の練習にムエタイの首相撲を入れたり細かなギャグが散りばめられている。
    入手杏奈さんは何役も兼ねて踊り明かした。へとへとになるまで。

    アクターも芸人もダンサーもジャズマンも「ええじゃないか」軍団も訳の分からないフェスにて踊り明かす。演劇を観に来た筈の観客はいつしか何を観せられているのか解らなくなる。しかし終わってみれば全員総立ちのスタンディング・オベーション。訳が分からないが参った!てな感じ。『ジャズ大名』の面白さを作り手が理解している。これはフェスだ。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    凄くノリノリで観ていたが、黒人達の過去話からテンポが落ちる。更に長州藩の陰謀あたりは挿入が下手。こんなもの背景でしかないのだから、巧く差し込むべきだった。何かだらだらだらだら停滞感。ギャグの一つとしてリズミカルにやらないと。

    クライマックス、日本人側からの新しいリフでジャズが劇的に進化して時代をぐんぐん先行してしまうギャグなんか欲しかった。ずっと同じリフだと飽きる。最後に戻るとして、途中どんどんどんどん進化してこそのジャズ。

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    2023/12/15 16:26

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