実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/12/12 (火) 19:00
座席1階
迫力のある二人芝居だった。父と息子という、なかなかの濃密な会話がしにくい関係なのだが、50代で亡くなった父が登場し、その年齢に近づいてきた息子と話すというシチュエーションにすることで余り違和感なくお互いの微妙な関係や、建て前と本音、そしてそれを打ち破るような感情の吐露が見どころだ。
オムニバスなのかとも思わせる構成だが、少し違う。特に説明はないが、時間の流れを思わせる状況を、東京と故郷・宮崎という二人がいた場所でクリアしている。子どものころに息子が父に対して何を感じていたのか、その心のざわつきというか違和感から物語はスタートし、次第に父の胸の内なども明らかになっていく。
自分の思いを伝えるのが少し苦手という感じの息子に、決定的な質問を突きつけられるとごまかしたり逃げたりする父。子どもに対して親が口先だけの理不尽な論理を展開して逃げるというのはよくある話だが、そうした「あるある」も客席の共感を呼ぶ。
小さな劇場だけに、この二人の役者のよく通る声、驚くほど大きい怒声などは迫力がある。終演時の客席の反応もよく、力強いカーテンコールが送られていた。