タイムトラベル大五郎 公演情報 さんらん「タイムトラベル大五郎」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    多彩な題材、作風でもさんらんらしさを短・中編の中に認めるこの頃であったが、今回は長編の回。リアリズムに立った「掘って100年」「ポンペイ」の次は、と構えて開演を待ったが、予想とは異なり?さんらんらしい「可愛らしい」作であった(この題名であるからして当然と言えば当然と言えるか)。
    台上を屋内とした素に近い舞台で、現代に迷い込んだ侍とのエピソードだけでなく、時代を遡った維新の頃も描く。走り回っていた子供たちが正装の侍姿で現れるのは一興で笑えるが、切り取られているのは戊辰戦争で敗れる彰義隊(に合流するあるグループ)で最終的に皆が死ぬ。現代の母子家庭の息子の闘い(最終的にいじめっ子と勝負をする)に、タイムスリップして来た剣士(上記グループの師匠に当たる)が影響を及ぼすが、背中に担う物として上記史実の場面がある。戦の無慈悲さの風景が、現代では戦場カメラマンの夫を亡くした母親の「思い」にシンクロするが、母が反対する息子の闘いそのものは(観客皆がそう思うだろう)正当性を持つ。(戦というよりは「勝負」である。) 母親もまた、自分の職業であるプロ雀士としての「勝負」から息子を守るためを理由に降りる事をやめ、出る決意をする。
    その意味では、背後にひっそり流れる戦争というテーマは必ずしも前面化しない。肯定されて良い「勝負」とは異なる、無為な戦いというものを、作者が具体的には何に見出し、それをなぜ否定したいのか、そして何故それらは起きてしまうのか・・(本作を通してという事ではないが)言及してほしい願望が残った。

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    2023/12/10 08:52

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