グレンギャリー・グレンロス 公演情報 演劇集団円「グレンギャリー・グレンロス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    この芝居の面白さがなかなか解らなかった。話は、町の中小といった感じの不動産屋の社員たちの売り上げ競争でお互い足を引っ張り合って売り上げを競い合う。男ばかりの五人の社員、事件は起きて警察沙汰にもなるが、たいしたことが起きるわけでもない市中の日常の茶飯事、1時間45分である。何で、これがピューリッツア賞なの? 今回でこの芝居を見るのは三度目である。初演は1984年、早速文学座が今のパルコ劇場で江守徹の演出でやった(と思う)のを見て以来疑問だった。
    この疑問、40年ぶりにかなり解消された。よくわからなかった理由。まず、当時の社員たちのモチベーションが把握できなかった。例えば、セールスマンにとっての顧客名簿(お客様名簿だがカモの一覧表である)の重要性の意味が理解できなかった。売り上げの歩合制やその社員同士のやりとりもなじみがなかった。セールスのシステムも違う。当時はすでに豊田商事事件などもあったから共通するところも多かったかったのに、そこが日米差で実感がなかった。一般的な社会情勢の変化で今はそこがよくわかる。
    二つ目は翻訳が良くなった。滑舌の良い円の役者がまくし立てても、台詞の中身がよくわかる。これは若い訳者のお手柄だと思う。
    この芝居に思い入れはほとんど必要ない。登場人物たちは、言ってみれば、おもいっきり我欲だけで突っ走る。なるほど、ここにアメリカを見たのだと、ピューリッツィア賞を納得した。このアメリカたっぷりの芝居に内藤裕子演出は、どうかと思ったが、日本で上演するにはちょうど良いさじ加減で、素直に舞台を楽しめた。しかし、今になって解るというのではそれはこちらの時代遅れで、今のアメリカでの評価はどうなってるんだろう。わかってみると、やはりたいしたはなしではないのだから。

    ネタバレBOX

    まだシカゴがアメリカの中心にあった頃の良い時代だと言うこともある。シカゴの没落を見ると、やはり現実社会は芝居より怖い、ということになるのかも知れない。

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    2023/11/22 10:13

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