実演鑑賞
満足度★★★★
面白い、お薦め。
表層的には、定年退職を機に考えること…就活ならぬ終活の一環として生前葬を行う男の物語。現代 初老男の人物像とその家族像を鮮明に切り取り、その世代のリアルを描いた秀作。
少しネタバレするが、男は元高校教師で 謹厳実直で家庭でも厳しかった。家庭内のことは すべて妻任せで家事はもちろん子供のことも見(考え)ていなかった。そんな男の哀愁と今後(第二)の人生を見つめ直すといったコメディタッチのヒューマンドラマ。
描き方としては序盤から中盤まで誤解・勘違いといったドタバタ騒動で笑いを誘い、後半からラストにかけて滋味溢れる展開で泣かせる。その感情の揺さぶり方が上手い。ちなみに男は学生時代にミュージカル研究会におり、高校(教師時代)では演劇部顧問をしていた。その関係もあり劇中でミュージカルナンバーを披露して楽しませる。
男の半生は反省でもあり、妻や子供たちと向き合うことで<生きる意味>を見出す。そのためには 何んらかのキッカケが必要であり、それが生前葬。実に上手い設定だ。
(上演時間2時間30分 途中休憩なし)
2023/11/20 06:14