連鎖街のひとびと【11月29日~11月30日公演中止】 公演情報 こまつ座「連鎖街のひとびと【11月29日~11月30日公演中止】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    2000年の初演、翌年の再演から22年ぶり。ソ連軍将校にいわれて、余興の台本作りに取り組む二人の劇作家(高橋和也、千葉哲也)…という設定はおぼろげに覚えているが、後は全然忘れていた。若い作曲家(西川大貴)とマドンナ(霧矢大夢)の破局を防ぐため、「ハゲを隠す坊主頭」「嘘を隠す大嘘」で、マドンナと元満州国役人の俳優(石橋徹郎)の衝撃シーンを芝居の中に組み込んでしまおうという大芝居。演劇の「キネマの天地」のように、演劇は人を救えるという思想を前面に押し出した演劇賛歌である。そこに、政府の満州引揚者を受け入れない棄民政策の告発をちょいときかせている。

    後半、芝居の稽古の場面がみごとに笑わせる。石橋徹郎が長ーいロシア人の名前を云えずに口ごもったり、止むにやまれず選出家に泣きついたり、その困りぶりがコミカルかつ生々しくて爆笑に次ぐ爆笑。

    ネタバレBOX

    『井上ひさし全芝居』の扇田昭彦の解説で、井上ひさし自身が参考文献に挙げた芝居が元ネタになっていることを知った。よくできてはいるが、敗戦後満州を舞台にしている割には軍部批判や戦争責任問題がなく、井上ひさしにしてはシンプルな芝居だなと思ったが、そういうことなのかと納得した。
    ラストの、背景が動いて舞台の俳優が歩いている風に見せる浅草劇風シチュエーションの紹介も一種の演劇論になっている。

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    2023/11/16 00:46

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