近代 ⇄ 現代作家コレクション 朗読劇「ラブ・レター」 公演情報 J-Theater「近代 ⇄ 現代作家コレクション 朗読劇「ラブ・レター」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    朗読劇ということだが、多少の動きを交え 会ったこともない妻の死を悲しむ中年男の心の変化を抒情的に描く。小説は読んだことがあり 内容は知っていたが、劇しかも朗読劇は初めてで新鮮であった。語りによって、客観的に男の心と行動を表し、その語り<物語>の中で男の心が少しずつ変化する。小説では想像する情景、それを生身の人間による演技と語りによって、中年男の乾いた心から激情し号泣するまでを描いている。が、感情移入するには今一つ。
    (上演時間1時間20分) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は朗読劇ということもあり暗幕 そして段差ある置台だけ。冒頭 波の音が聞こえ港町…千葉県千倉の海岸または砂浜イメージ。 池田サトシさんが、帽子の着脱で語り部になったり 劇中の佐竹興業社長(親分)など何役も担い物語を紡いでいく。

    物語は、佐竹興業(ヤクザ組織)の一員である高野吾郎(☆ニューフリーマン☆ サン)が 会ったこともない妻の遺体を引き取りに行く その過程を描いたもの。中国人の白蘭(斉藤沙紀サン)と戸籍上結婚しているが、会ったこともないから死んだと聞かされても悲しむこともない。が、白蘭は吾郎へ感謝の気持を表した手紙を送っていた。

    人の幸せは生きてきた時代と土地に無縁ではいられない。白蘭は、異国の地で理不尽な扱いを受け 非業な死を…。祖国の家族へ仕送りをする、入管のために自分と(戸籍だけの)結婚をしてくれた吾郎に感謝している。そんな白蘭の心情を知れば知るほど、吾郎は彼女を哀れみ号泣する。白蘭の衣裳は白地、暗幕の中で朧に立つ姿は この世の人ではないよう。実に上手い演出だ。

    原作通りに朗読していると思うが、どうしても演技を観てしまい想像力を欠いてしまう。無為に生きてきた高野吾郎、一方 家族のため異国の地で働く白蘭…本来 縁が出来ない男女が手紙(ラブレター)を介して情を交わすといった感動、その高揚感が味わえないのが憾み。
    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2023/11/09 12:55

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大