電車は血で走る(再演) 公演情報 劇団鹿殺し「電車は血で走る(再演)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    頑張るための応援歌
    沢山の個性的な劇団があるけれど、この劇団の持つ雰囲気は独特で強烈で、このエネルギーを感じたければこの劇団の芝居を見るしかないと思わせる何かがある。
    観終わった後は、少し切なく寂しくもあるけれど、明日に向かえるパワーをもらえる、前向きになれる、そんな内容。
    歌と踊りと劇中劇と、色んな要素を詰め込んでありました。
    劇団と観客、両方に対する応援歌のような芝居でした。

    ネタバレBOX

    劇団の自叙伝的なエピソードも上手く取りこんでて、思わず『解るよ…』と言いたくなってしまう台詞もありました。
    男前田ドクロの『芝居って作っても目に見えない。だから上手く作れてるか解らないし、不安になって逃げたくなる』やフルシアンテの『僕には書けないよ、知らないもん。思ってない事は書けない。僕に書けるのはこんな本しかないよ』等の人間としての弱さは魅力的でした。
    劇団を解散しようかと迷っている三十路の人間の前に、子供の姿のままで現れた鉄彦は『応援してるで、頑張りや。だってできるって信じてるもん』と無邪気に受け止めて、応援してくれる。
    自分のやりたい事を信じて、ひたむきに真直ぐにただ頑張る。
    大人になってしがらみが増え、ただ素直にやりたい事を頑張れる事もできなくなっていた自分を気付かされました。
    鹿殺しのメンバーは劇中の宝塚奇人歌劇団のように、ひたむきにやりたい事を追及しているのだろうなと思いました。

    劇中劇を演じる劇団『宝塚奇人歌劇団』も面白い。
    蒲田行進曲のパロディや、メタリカ、メガデス、クィーン、マイケル・ジャクソン等々の様々なナンバーに合わせてのパフォーマンス。
    ロックでファンクでパンキッシュで、ワクワクしました。
    衣装も道具も派手で、小ネタも一々関西的なノリ。
    雑多で派手で元気がよくて、いい意味で関西を全面に押し出していました。

    鉄彦が死んでしまう電車事故は、福知山線の電車事故を彷彿とさせる。
    『電車は沢山の人を運ぶ。人は希望や思いを抱えてる。電車は人を運ぶと同時に思いも運ぶ。希望や未来も運ぶ。』
    擬人化された電車車両の、楽隊電車の演出もよかった。
    帰宅時に電車に乗った折、思わず鉄彦の台詞を思い出し、せつなくなりました。

    でも、この劇団の芝居は言葉では上手く表せない。
    ノリが合わない人には、煩いと感じるかもしれない。
    実際、大音量なのでびっくりするかもしれません。
    万人に薦められないかもしれないけれど、私は元気をもらいました。

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    2010/06/30 17:51

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